第四十七部 第四章 最終兵器
「料理勝負はアオイとミツキに頼みたい」
その一言で、深雪とさくらが少し驚いた。
詳しく知ってるムラサキとかは凄い顔してた。
でも、仕方ない。
最終兵器を投入し、速やかに一撃必殺で臨むべし。
「待ってください。本当にサンシュ一世国王もウラカ第一王妃も私の妹のマリナ第二王妃も来るんですよ」
アオイとミツキを慮って、その話をアオイとミツキが受けて腕まくりして調理室の方へ料理の研究の為にと許嫁達と向かった後、男だけが残った食堂でカザンザキスさんが必死に説得して来た。
「いえ、だからこそですよ」
俺が答えた。
「え? 」
「ゾンビ鳥のスープなら、殺傷能力はアオイとミツキの料理の方が下です。試食する方の命を考えれば、これは必須」
「おお、なるほど。流石兄弟だな」
アポリトが深く頷く。
「さらに、もしもの事があっても、アオイなら……パトリダの最有力者で第二王妃の兄の貴方の孫娘のアオイなら彼らはうまく誤魔化してくれるでしょう」
俺がそう断言した。
何しろ、ペドロ王太子の暴走で首都のグアルダは炎上壊滅してしまったのに、息子大事で全部事故で起きたと済ましたほどなのだ。
「ううむ」
その辺の事情を知るカザンザキスさんが流石に黙った。
「それよりも、爆龍王ゴウオウをどこかに行かさなければ、こないだの炎上の件が疑われてしまう。幸い、あのおっさんが地下の格納庫で寝てたから良かったものの、流石に当日はまずい」
「そうか、そう言う問題もあったな」
アポリトが首を傾げた。
「その辺は今夜にでも、あのおっさんが言う事を聞く龍女さんに言って貰って、急遽の用でパトリダに向って貰い。向こうでたっぷり酒を飲んでもらうしかないでしょう」
もう酒だ。
酒を飲んでりゃ昭和のおっさんでふて寝してんだ。
酒で誤魔化すしかない。
「むう。とりあえず、では、通信機がヨシアキ大佐のお蔭で私の邸宅にあるので、酒の準備をさせましょう」
「義弟も見張りで一緒に向って貰った方が良いな」
アポリトが俺に提案した。
「そうだな。何か起こってもリヴァイアなら大丈夫だし、そういや、あいつも破壊に関わってたな」
むう、もはや、昔の事で忘れたいと思ってたので完全に忘れてたよ。
「とりあえず、その方向で」
「お前に一つ忠告をしとく」
親父が俺をじっと見て言った。
「何? 」
何か言いたいのだろうか?
「ミツキはな。美味しい飯を頼むよと言うと、殺人飯を作る癖があるんだ」
「マジか! 」
知らなかった。
流石親父だ。
これで一撃必殺だ。
「待てよ。それを知っていると言う事は」
俺が親父をじっと見た。
「心配するな、救急車で三回ほど運ばれただけだ。死ぬ事は無いさ」
親父が良い笑顔だ。
ありがとう親父。
身を挺した経験を教えてくれて。
さあ、明後日は決戦だ。




