第四十七部 第三章 料理勝負
やめてくれと騒ぐ皆を無視して料理勝負を受けた。
燃える、燃えるぞ。
勝負は明後日、軽空母の上と決まった。
カザンザキスさんの持つテーラでの伝手を頼んで新鮮な食材を山のように買うことになった。
一応、軽空母にも向こうの食材が積んである。
これなら、絶対に勝てる。
そう思って準備してた。
だが、夜になってファウロスから挑戦状が正式に届いて気になる事が出来た。
夜に食堂で皆と食事をしながら、その挑戦状とやらを読んでいた。
「兄弟、何て書いてあるんだ? 」
アポリトが一緒に食事をしながら聞いてきた。
「いや、それがどうも文面がおかしい」
「どういう事? 」
「明後日の昼より料理勝負をお願いしたい。つきましては当日選んだ五人の試食者をより多く撃破したものの勝ちとすると」
「撃破? 」
アポリトが不思議そうな顔をした。
「撃破って書いてあるんだよ」
「料理が美味くて、負けたって意味の撃破じゃないのか? 」
隣の和真が突っ込んできた。
「いや、言葉通りじゃないか? 」
カルロス一世も首を傾げた。
「「マジかよ」」
クニヒト大佐とヨシアキ大佐が返事して書面を見たがったので渡した。
「何か凄く嫌な予感がする」
クニヒト大佐が突っ込んできた。
「まさか、撃破目的の料理勝負なのか? 」
「兄弟、可能性あるかもしれん」
アポリトも不安そうに頷いた。
「それは料理勝負と言えるのか? 」
呆れ果てたように和真が言った。
「あり得るんだ。あいつなら」
俺が困惑したように言った。
「まさか、例のグリルとグリラさんが参加しないとか言うんじゃないでしょうね」
カザンザキスさんに言われて皆が真っ青になった。
慌てて、挑戦状を見ると最後のルール説明に料理の兄弟神は参加しては駄目と書いてある。
「ほげげげげげげぇぇぇぇぇ! 」
俺が叫んだ。
「だ、誰が食べるんだよ! 」
クニヒト大佐が動揺してる。
「そんなにやばいのか? 」
「前回が生きたゾンビ鳥のそのままスープだった」
「はあ? そんなもの食えるの? 」
「本来は食べれないのを料理の兄弟神が毒消ししてくれたんです」
「なんだよ、それ料理じゃないじゃん」
和真が動揺してる。
「面白そうな話をしてるじゃないか」
親父が乗ってきた。
「どうしょうか? 」
「ははははははははは、簡単な事だ。先手必勝だ」
親父が笑った。
「なるぼど」
俺がちらりと許嫁が集まって食べているテーブルのアオイとミツキを見た。
「そうか、殺人兵器はこちらにもあったな」
俺が囁くように答えた。
「ふふふふふ、先に食べさせて撃破すればいいのさ」
親父が良い笑顔だ。
「いやいやいや、それはまずいでしょ。テーラからも要人が来るんですよ? 」
カザンザキスさんが慌てて止めてきた。
「逆にそれならば、相手はこちらは先手必勝でやばい事はできないと思うだろうな」
親父がにやりと笑う。
「ふふふふふふふふふふふふふふ」
俺も腹を決めたように笑った。
横でカザンザキスさんがオロオロしてた。
でも、先手必勝だ。
俺達は勝つ!
 




