第四十六部 第十章 エピローグ
俺の前で瞑想をしていたオフィエルが突然泡を吹いて倒れた。
見るからに痙攣してる。
さっきの話が余程ショックだったらしい。
いやいや、良い話じゃないか。
俺は一緒に拍手してしまったぞ。
何故、あの素晴らしい思想が理解できないのだ。
なるほど、意識下とは凄い事を考える。
すべてが変態になれば、俺も普通の人だ。
さらに、戦争も差別も無くなる。
言い得て妙だ。
戦争も差別も人と自分の常識や思考が違う事から起きやすい。
だが、全員が変態になればどうだ。
自分も変態だし、相手の変態を尊重せざるを得ない。
変態同士で争いが起きるとは考えにくい。
だって変態だもの。
すべての人間の問題を解決するのが実は変態だったとは。
これはコロンブスの卵に匹敵するお話だ。
身近に最適解があったのに、気が付かなかったと言う。
変態こそ、変態大国ジャパンの真骨頂ではないか。
本当に素晴らしい話だったな。
うんうんと頷いていたら、自分の身体に戻って夢が醒めた。
「おおおおおおおお、戻った」
ふと、周りを見回すと、ベットの上で無かった。
俺がびっくりして起きた。
そして、両手を合わせて黄金の天使に祈る。
「良いお話をありがとう」
ふと気がつくと、俺を黒服を着た男達がドン引いた目で見てる。
「こ、ここは一体」
「良かった。お気づきになられたのですね。オフィエルはどうなりましたか」
アオイが心配そうに俺に寄り添った。
「ああ、何か泡吹いて倒れて痙攣してた」
俺が答えるとさらに黒服たちがドン引く。
「良かった」
アオイが笑った。
「いや、あんま良くないと思うけど。ほら、母さん、お兄ちゃんの映像見て泡吹いてるよ」
ミツキが呆れ顔だ。
「は? 」
横を見ると医療チームが母さんへの救急措置をしてた。
酸素マスクをしてる母を見て、顔が引き攣る。
ぎぎぎぃと言う感じで許嫁達を見た。
「どゆこと? 地球儀クルクル回すのとか見た? 」
俺が許嫁達に祈るように聞いた。
許嫁達が無言で頷いた。
「ほんげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇ! 」
息を絞り出すように俺が叫んだ。
やっちまったよぉぉおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!
皆に恥ずかしい厨二の姿を周知されてしまった。
もう終わりだ。
恥ずかしさのあまり、気絶した。
人生谷あり谷あり。




