第四十四部 第十三章 エピローグ
「まあ、今時、同性婚もあるんだし、そんなに怒らないでも」
と親父が横でフォローしたが母さんは聞いてくれなかった。
襟首掴まれて俺が長い廊下を引きずられていく。
「あんたね。神族がそれじゃ駄目でしょ」
母さんがブチ切れている。
「困っちゃいましたね」
言いながら、アオイ達もついて来る。
何やってんだろう。
「ババアに手を出すだけでも駄目なのに、何考えてんのよ! まして、自分の使徒に手を出すなんて! しかも、男でしょおおおぉぉぉぉがぁぁぁぁ! 」
母さんのブチキレが止まらない。
ふう、困ったもんである。
「私達としてはついでに手を出して貰ったらいいのですが」
「そのとおりです」
フィーネ姉妹が母さんに言った。
「はああああああああ? あんた達まで! もっとまともなのにしなさい! 」
自分の息子にこれである。
「いや、一番当たりですよ」
「私も当たりだと思います」
「あのね。貴方達、夫婦になる相手と言うのは一生を支え合うの。小さな家でも良いから、そこで家族でつつましくも暮らすの。それが夫婦になると言う事なのよ」
なるほど、それであんな家に住んでいたと言う訳か。
貧乏とまでは思わなかったが、今更上流階級と付き合えと言われても無理だな。
一生、普通で良かったのに。
「結果があれですか? 」
「どうして、ああなったんです? 」
フィーネ姉妹が親父を指差した。
笑えねぇ。
「ほっとけやぁぁぁぁぁあぁぁぁ! 」
母さんが逆ギレした。
「まあ、てれるなよ」
親父が照れくさそうに母さんに言った。
もっと馬鹿発見。
「お前がそんなだからぁぁぁあああああ! 」
母さんの必殺の飛び膝蹴りが親父の頭を打ちぬく。
素晴らしい。
バネと言い一級品だな。
「とりあえず、あんたはしばらく反省するまで牢屋に入って良く考えなさいっ! 」
母さんがずりずりと俺を引き摺って、牢屋が並ぶ区域に連れてった。
「考えて変わるなら苦労しないんじゃ」
ミツキが横で突っ込んだ。
「変わんなくても、私が納得いかないのよ! 」
母さんが叫んだ。
ううむ、パニック状態ですな。
「あの、ところで爆龍王ゴウオウとリヴァイアはどうしますか? 」
アオイが母さんに言った。
「は? 静かだし、収まったんじゃないの? 」
「あっちの近いとこに大きな島があると言うので、それをどちらが破壊するか二匹で競うそうです」
アオイがびしっと一点を指差して答えた。
「は? 」
「あ、それ、ハワイじゃない? 」
エレネが答えた。
「本当だ、そっちならハワイだ」
シャーロットも冷静に答えた。
「はぁぁぁぁああああああ! 止めてぇぇぇえええええ! 」
母さんが絶叫した。
早くカルシウム錠を買ってこないと母さんが壊れてしまう。




