第四十四部 第十三章 撤退
「はぁぁああああああ? どうゆう事? 」
俺がびっくりしてムラサキに聞いた。
「言った通りですよ。最初からもしもの時の護衛で十二使徒の中から私がついてたんです」
ムラサキが笑って答えた。
「十二使徒ってモンスターみたいなのじゃないの? 」
「私みたいな人間型もいますよ」
「マジか」
「くくくっ、なるほど、すでに護衛もつけられていたと言う事か」
オクが笑った。
「他にも一杯あるけどね。単純に考えない方が良いよ。そんな簡単な話じゃないし」
ムラサキも笑って答えた。
「ほう、それは面白い話を聞いたな」
オクが興味深そうだ。
「で、これからどうするの? 」
「引くさ。当たり前だ」
オクが笑った。
「えええっ、何故だっ! 」
フルが叫んだ。
「奇襲は失敗したら引く。当たり前だろ」
言うと同時にオクが消えた。
相当の手練れだな。
強い奴ほど、引くのが早い。
意味も無く戦線を維持しても仕方ないからな。
それと同時に、ゼブとやってたドロドロも消えた。
外の巨人も消えた。
「くくくくくっ、仕方あるまい」
舌を噛んだのか、一筋の血を流しながら、憤怒の形相でフルが消えた。
一体、何をそれほど恨んでいるのか。
神道の思想から来るジャパニーズ極意である水に流すと言う事の素晴らしさを彼に教えてあげたい。
だからこそ、祓いの祝詞と思想があるのだ。
恨みも何もすべてを祓い無くしてしまう。
覚えていたら、心が壊れてしまうものを祓いでなくしてしまうのだ。
これは仏教の般若心経の空の思想に近いものがある。
神道は奥が深いのだ。
「いや、加害者が言う事じゃないと思いますが」
ムラサキが突っ込んできた。
「お前、思ってる事喋るくせ直した方が良いぞ」
カルロス一世も突っ込んできた。
おやおや、喋ってましたか、そうですか。
「水に流す。素晴らしい思想だな。俺もいつもそうやって来たよ」
親父も良い笑顔だ。
「いやいやいやいや」
カルロス一世が突っ込んだ。
「それにしても、ムラサキが使徒だったとは……」
「うん、ノリで色仕掛けとかやったけど、まさか、男性と言う事にしてたから手を出さないと思ってたら、あっさり手を出して来たんでびっくりしたよ」
ムラサキが凄い良い笑顔だ。
「ええ? 」
ちょっと待ってください。
物凄い核弾頭発言なんですが。
えええええ?
「ちょっと、他の使徒たちに申し訳ないなぁ」
ムラサキがちょっと嬉しそうに呟いた。
「ム、ムラサキさんって女性なんだよね。男の子みたいな格好してるだけなんだよね」
母さんが凄い顔してる。
やばい。
「なんか両方ついてるみたいですが、本来は稚児小姓です」
国王が余計な事言った。
やばい。
ひょっとしたら、人生で一番やばいかもしれない。
「あ、あんた。妹や糞ババアだけでなく、男にまで手を出してたの? 」
母さんの声が震えてる。
本当に震えてる。
どうしよう。
「私、子供の育て方間違ったのかしら」
母さんが見た事も無い壮絶な顔をした。
それを国王達や親父までが笑顔で頷いた。
ふざけんな。




