第四十四部 第十章 混乱
手を握りしめて、熱く思っていたらいつの間にか、皆が俺を見ている。
「お前、全部、喋ってるぞ」
カルロス一世が呆れ果てた顔をした。
「爆発に巻き込まれて終わりの子って……」
母さんの顔がハンパ無い。
ぐはっ!
「そ、そんなにやりたくないのかの」
樹老人が悲しそうな顔をした。
「だって、悪い事しか起きないのに」
俺が仕方なく答えた。
「いや、そりゃまあ、嫌な事しか起きないかもしんないけどね。自分の決定でたくさんの人が死ぬわけだし」
母さんがため息ついた。
「え? それは気にしてないなんじゃないかな? 」
クニヒト大佐が突っ込んできた。
「気にしてたら、火力使って一気にしないよね」
ヨシアキ大佐も続いた。
「よくもそんなことを」
グレタさんのように反論してしまった。
「いや、リアルでそうだし」
クニヒト大佐がさらに突っ込む。
「それはあくまで結果論でしょうよ」
「結果論で言っちゃうなら、認めてるやん」
クニヒト大佐が呆れた顔をした。
「いやだって、トラブルメーカーなのは認めるが、そんなのにこんな事をやらせるのもどうかと思うぞ」
「うわ、投げやりになった」
「そりゃ、そうだろ。何か知らんけど、これに選ばれてから、加速度的にトラブル増えてるし。そもそも経費が出るわけでも無いし」
「そんな事言ったら、貴方を信じてるアオイさんが悲しむんじゃないの? 」
母さんが俺をじっと見た。
「あ、前世もこんな感じでしたから」
アオイが良い笑顔だ。
「「「「「「「おい」」」」」」」
全員が突っ込んだ。
「何で、甥がそれに選ばれたんだろうな」
カルロス一世が呆れた顔をした。
「戦闘力とかですかね」
アオイが答えた。
「何でやねん。それはおかしい。俺みたいに無害な男にだな、そんな戦闘力などと」
俺が突っ込んだ。
「無害か? 」
カルロス一世が呆れた。
「戦闘力はヤマトでも最強だろうに」
クニヒト大佐も呆れた。
いきなり、島が揺れる。
「あ、また来ましたね。あの巨人の影の奴」
アオイが呆れたように呟いた。
「ええ? 鈴だけでしっちゃかめっちゃかなのに? 」
母さんが困った顔をした。
「どうだろう。俺とか息子がいるから、攻撃されるんじゃないか? 」
親父が起き上がって母さんに聞いた。
「そりゃ、そうだろうけど、仕方ないじゃない」
「ここは、俺達がテレポートで離れれば良いと思うんだ」
親父の言葉が熱い。
「それは言い考えかも知れない」
国王も同調した。
なるほどな。
一旦、俺達が離れれば、あの巨人もついて来るはず。
そうすれば、ここは鈴の問題とヒモ・モードの後始末だけになる。
俺がいなくなれば、ソフィアさんも何とかなるんじゃないか?
何とかなるに違いない。
きっと、何とかなる。
「で、どこへ行くの? 」
母さんが怪訝そうに聞いた。
「「「「秋葉原へ」」」」
親父と国王達が笑顔で答えた。




