第六部 第一章 プロローグ
物凄く豪奢な円形の大きな机に国王と宰相とイジュウイン大公、サイトウ公爵とミヤタ公爵とスギモト公爵とミタライ公爵とフジワラ侯爵とミヤビ王女が座っている。
ここは政治や軍事など、国家の最重要時に使用する最高幹部会の会議場だ。
「どうやら、テーラでひと騒動あったようだな」
国王が皆を見回した。
「まさか、テーラから、こちらへワンクッション置いて、やってこようと思っているとは」
宰相が答えた。
全員がゲンドウポーズで話してる。
呆れ果てたように、横を向いてミヤビ王女がため息をついた。
「そろそろ、あの甥にヤマトの恐ろしさを教えねばならん」
国王が意味ありげに答えた。
「いよいよ使うわけですか」
イジュウイン大公が鋭い目をした。
ますます呆れ果てたような表情にミヤビ王女がなった。
「猛禽だ! 猛禽を使うのだ! 」
国王の目がキラリと光った。
おおおおおと最高幹部会の会議場にどよめきが走る。
「やめようよ、もう」
ミヤビ王女がたまりかねたように立ち上がった。
「馬鹿者、お前がとっとと孕まんからこうなる」
国王がミヤビ王女を一瞥した。
「こういうのは自然に任せるべきでしょ」
ミヤビ王女が顔を赤くした。
「いや、それではいつまでたっても、彼は戻ってきませんぞ」
スギモト公爵がミヤビ王女を見た。
「その通り、何としても、あの男に我らと同じ苦しみを……」
イジュウイン大公の目に涙が光る。
「本音がただ漏れですが、そういう事ですね」
ミヤタ公爵が力強く頷いた。
「とりあえず、私は娘から四人出せます」
フジワラ侯爵が手を挙げた。
「またれよ、フジワラ侯爵。この場合、猛禽の中の猛禽クラスで無いといかんのだぞ」
宰相が問いただした。
「分かっております。うちのは特別な一品でございますぞ」
フジワラ侯爵が下卑た笑みを浮かべた。
「なるほど、そちも悪よのう」
ユウキが夢見てたやりとりを国王がした。
「いえいえ、国王様ほどでは……」
フジワラ侯爵が追従笑いをした。
国王とフジワラ侯爵が嬉しそうに哄笑した。
「ふほほほほ、いくら<終末の子>が孕ませにくいとは言え、二十人くらいぶつければ一人は孕むであろう。ちなみに、ワシは娘を十人出す」
国王がニタリと笑った。
「ちょっとちょっと、もうやめてよ。お願いだから」
ミヤビ王女が困り切った顔をする。
「馬鹿者。奴にわしらと同じ苦しみを味わすんだ」
国王が歯軋りをした。
「私も五人、娘を出しましょう」
ミヤタ公爵も手を挙げた。
「私も同じく五人です」
ミタライ公爵も同じように手を挙げた。
「ふはははははは、孕んでしまえば結婚せねばならない。今度ばかりはこの聖樹様のこの世界の決まりが素晴らしいの」
国王がさも嬉しそうに笑った。
ちなみに、この国の猛禽と言うのは隠語で、あらゆる手段を使って男を襲い妊娠し無理矢理自分と結婚させる女性に使われる言葉だった。
「我らの苦しみを奴にも! 」
イジュウイン大公が腕を振り上げて誓うように言った。
「「「「「我らの苦しみを奴にも!! 」」」」」
その言葉が最高幹部会の会議場に鳴り響いた。
今回の第六部。ちょっとやばい話です。
お気に障る方はお許しください。
彼らの文化なので。