第四十四部 第八章 自爆作戦
「ちょっと、待って、ソフィア達がいるんだけど」
シャーロットが困ったように答えた。
「まあ、母さんが守るだろう」
親父があっさりと答えた。
「一応、万が一の時も考えて、私が何とかしておきますから」
アオイが笑った。
「お義母様とアオイがいるなら安心ね」
シャーロットがホッとした様だ。
「私達も連れて行ってくれるんですよね」
フィーネ姉妹が聞いてきた。
アオイが俺を見た。
「まあしょうがないね」
ミツキが答えた。
なんとなく、このままなし崩しに嫁になっちゃうような気もしたけど、ここで戦うよりはいいか。
「爆龍王ゴウオウはどうすんの? リヴァイアも居るんだけど」
「ああ、八丈島から離れた場所に母さんの持ってる島があるから、そこにテレポートさせれば良いんじゃないか? あそこは不可視装置もあるし」
親父が軽いノリで答えた。
「それが、良いじゃろ」
祝融さんも頷いた。
それにしても、どんだけ金持ちなんだよ。
アメリカ産の赤身肉の特売の見切り半額シールつきステーキで喜んでた俺の過去を返せ。
スジの煮込みとかでも贅沢だったのに。
黒毛和牛のロースステーキを毎日腹いっぱい食えたんじゃないだろうか。
ひょっとすると松坂牛なんか余裕だったかも。
「どうしたの? 」
ミツキが聞いてきた。
「いや、こんな金持ちなんて知らなかったから」
「私は知ってたけど」
「何ですと! 」
「ふう、とうとう言わなきゃなんないか」
親父が深いため息をついた。
「な、何かあるの? 」
「ああ、深い理由だ」
親父が憂うような顔をした。
「父さん、母さんに怒られた時に、いつもお前を盾にして連れて逃げてたんだよ」
親父がしみじみと悲しい顔をして言った。
ふざけんな。
何、やってくれちゃってんの?
「まあ、息子なら、母親は一緒に潰すなんて出来ないからな」
祝融さんも頷いてる。
「それは仕方ない事だろう」
国王達も言いながら頷いた。
「いやいや、それはいくらなんでもおかしいだろ」
俺が抗議した。
「ふっ、お前が俺と同じ立場ならどうする」
親父が俺をじっと見た、
「息子を盾にするな」
「だろう」
親父が良い笑顔だ。
むう、仕方の無い事なのか。
「そんな訳で、逃げだした当時は金が無いから、貧乏なものしか食えなかったと言う訳さ」
なんか、親父が良い話みたいに言うのが納得できないが、まあ、俺でも息子を盾にはするだろう。
母さん怖いから。
そう言われると責める事が出来ない。
「さあ、話もついた事だし、自爆と行くかぁ」
親父が皆を見回した。
「ま、待ってください。別に自爆しなくても良いんじゃないですか? 」
ヨシアキ大佐が我慢できなくなったように突っ込んできた。
「味方も一杯いるのに自爆するの? 」
クニヒト大佐も突っ込んできた。
「まだまだ、君達は若いようだな」
祝融さんが笑った。
「また、ですか? 」
ヨシアキ大佐の顔が引き攣る。
「「「「「「自爆は男のロマン! 」」」」」」
親父と祝融さんと国王と宰相とイジュウイン大公が叫んだ。
「むう、ロマンなら仕方ないね」
俺が頷いた。
男のロマンと言われたら、誰も逆らえないや。




