第四十四部 第五章 国王だよね
「いや、お前国王だろ? 来年結婚したらヤマトの国王だぞ? 」
国王がさらに突っ込む。
「ヤマトを一緒に継いでくださらないのですか? 」
レイナさんが悲しそうな顔はするが、継ぐんでしょと言う脅しのような威圧感がハンパ無い。
「お前、コンチュエの国王でもあるんだぞ」
チアンウェイが突っ込んできた。
「ええええ? 」
「そりゃ、そうだろ。チアンウェイさんは次の女帝候補だし」
「いや、それはチアンウェイさんが……」
俺が慌てて否定しようとした。
「悪いけど、女帝自体は臨時措置だからな。ヤマトの関係考えると連合国家の皇帝もあり得るぞ」
チアンウェイさんが断言した。
何、その罰ゲーム。
「良く考えたら、女媧様の息子なんだから、こちらの世界のトップになるのでは? 」
シャーロットが冷静になって答えた。
ほんげぇぇぇぇ!
渾身のパワーワードが!
「一応、<終末の子>って<結末の時>の勝利した世界の絶対支配者だぞ」
樹老人が突っ込む。
ほんげぇぇぇぇぇ!
それが嫌だから足掻いてんのに!
尊敬する今川氏真様を見習いたい。
徳川傘下で実は戦もやってて、大功をあげて今川家を復興させて大名返り咲きの話があったのに、戦が嫌いだからと爽やかに蹴ったと言う。
流石蹴鞠の名手だ。
友達と言いながら蹴ってる奴と訳が違う。
俺も蹴鞠をやって喜ばれたい。
本当に、こんな生活嫌なんだけど。
言うと許嫁に殺されるから言わないけど。
「そうよね」
「どう見ても一番の大当たりなんだよね」
いきなり、部屋で聞いた事の無い声がした。
「だ、誰? 」
俺がふっと天井が気になって見上げると、そこに四つん這いでフィーネ姉妹がいた。
こえええ。
何で、そんなとこに居るんだよ。
ホラーじゃん。
「ちょっと、ここはユウキ様と許嫁だけの部屋ですけど」
シャーロットが不機嫌そうに切れた。
「勝手に入らないで貰えるかな」
アナスタシアさんも笑ってるけど、目が笑ってない。
「おやおや、後二人くらい追加でよろしいんじゃないですか? 」
「私達も女媧様と関係が深いのだし」
二人で言われるとサラウンド聞いてるみたいだ。
声の質も良く似てる。
「ふざけないでくれる? 」
エレネもキレた。
「困ったちゃんですかねぇ」
レイナさんが殺気を放ちだす。
こええええ。
「あらあら、私達もそろそろ婿取りですよ」
「そうそう、誰でも良いのを選んでいいとお義母様にも言われましたし」
俺の母さんをお義母さん呼ばわりしてる。
これにこちらの許嫁が火がついたようだ。
「ちょっと、お仕置きが必要ですね」
とうとう最終兵器アオイが動き出した。
怖すぎる。
でも、俺も分かる。
あの二人強い。
ひょっとして、鈴も侵入してるし、この島も沈むのかな。
などと現実逃避してしまった。




