第四十三部 第五章 地獄のはじまり
「ルイス中尉! ルイス中尉! ルイス中尉! るうぃすぅちゅういいい!」
イジュウイン大公が叫んだ。
「それは、ひょっとしてファーストガ◯ダムでア〇ロがマチ〇ダさんとか叫ぶ真似かな?」
国王が突っ込んだ。
「おお、分かりますか」
イジュウイン大公が嬉しそうだ。
「ミタライ公爵がいたら感動しただろうな」
宰相が頷いた。
「あんたら、最低や! ルイス中尉が死んだのに! 」
俺が国王達に叫ぶ。
「いや、死んでないから」
祝融さんが呆れたように言った。
痛がってるけどルイス中尉は動いてる。
「止まるんじゃねえぞ! 」
ルイス中尉が叫んだ。
「あ、それ、分かんないと思う」
俺がそう答えた。
「え? そうなんですか? 」
ルイス中尉がガッカリしてる。
「鉄血のオ◯フェンズは一番最近のガンダムだから、知らないと思う」
「な、何っ! また新しいガ◯ダムがあるのか? 」
劇画調の顔で国王達が驚いた。
相変わらず、訳の分からない所で高スペックな……。
「ヤクザみたいな話なんですよ」
ルイス中尉が説明した。
「こ、これは」
「早く秋葉原に行かないとな」
国王がマジな顔だ。
「思うけど、刺されまくってるのに、ルイス中尉は余裕だね」
呆れてミツキが笑った。
「とりあえず、ナイフを抜いてスキル回復をかけます」
ミヤビ王女が言った。
そうか、スキル回復って、ち◯この回復だけじゃ無かったんだ。
最近、それしか見て無かったから新鮮だ。
「そう言う使い方もあったとは」
「いや、こっちが本当の使い方だから」
ミヤビ王女が呆れたように答えた。
「とりあえず、めぐ◯んのフィギュアが守れたから、良かった」
ルイス中尉がスキル回復で立ち上がって振り返るとめぐ◯んのフィギュアは燐女さんに踏みつぶされて粉砕されていた。
「え?」
ぐちゃぐちゃに嬉しそうに踏み潰してる燐女さんとルイス中尉の目が合う。
「ほんげぇぇぇぇ!」
ルイス中尉が絶叫をあげて気絶した。
「惜しい奴を亡くしたな」
親父が悲しい顔をした。
「くそう! 良くもルイス中尉を! 」
俺が目を拭った。
その時、ドアを蹴破って母さんが食堂に入ってきた。
「あんた達、いい加減にしなさい! 」
母さんが怒鳴る。
母さんから湯気のように闘気が漂う。
やばいな、これはキレた。
親父とアイコンタクトで確認しあったら、驚く事に祝融さんもそのアイコンタクトに参加して来た。
何という事だ。
母さんの雰囲気で、今後どう言う事を母さんがするかも、祝融さんにも俺達と同じように分かると言う事か。
なるほど、お爺さんと呼んでいいみたいだ。
「ちょっと、鈴っ! あなたもいい加減にしなさい! 」
母さんが怒気を含んで叫んだ。
「ばばあがうるさい」
「ばばあはひっこんでろ」
艦艇のスピーカーから子供の声で恐ろしい言葉が流れてきた。
こ、これはまずい。
非常にまずい。
親父と祝融さんも白目を剥いている。
いよいよ、地獄の始まりだ。




