第四十三部 第四章 鈴
「みつけた」
「みつけた」
「だんなさまをみつけた」
途切れ途切れで艦内のスピーカーから子供の声が聞こえた。
「ああ、鈴だ」
眩暈がする。
「まいったな」
親父も困った顔だ。
「もし、空間断層であれを隔離したらどうなるの? 」
「できますけど、巻き添えになる人が出ると思います」
アオイが俺の質問に答えた。
巻き添えが出るんじゃなぁ。
「マジかよ」
「何であの大量殺人鬼がこんなところに」
「しっ、聞こえるぞ」
ザワザワと軍人さん達が騒いでる。
なるほど、本当に有名らしい。
困ったもんだ。
「まさか、マシンドール部隊も来てるんじゃないだろうな」
親父が祝融さんに聞いた。
「それは大丈夫だ。センサーで何度もスキャンされてるはずだし、それは無い。ただ、あいつの真骨頂はそう言うのを人形とかで潜り抜けて来るんだよな。さらに、人形だから銃が効きにくい」
「むう、やばいな」
「何、こうすればよかろう」
龍女さんが手をかざすと、ドアの辺りと共に人形が爆発した。
それでも、そのうちの二体が燃えながら突っ込んでくる。
それをミヤビ王女がファイアーボールで灰にした。
「君の許嫁さん達は本当に凄いな」
祝融さんが感心してる。
「ぐはっ! 」
いきなり、窓側の軍人さんが刺されて悲鳴を上げた。
窓の下に、この素晴らしい〇界に祝福を!のめぐ〇んのフィギュアが果物ナイフを持って立っている。
さらに、この素晴らしい〇界に祝福を!のめぐ〇んのフィギュアがぞくぞくと果物ナイフを持って窓から入ってくる。
「うわぁ、フィギュアか」
俺が言うと、ミヤビ王女が構えた。
すると、ルイス中尉がその前に立ちはだかった。
「ちょっと、危ないですよ」
ミヤビ王女がびっくりしてる。
「駄目です。めぐ〇んは駄目なんです」
ルイス中尉が震えてる。
おい。
「ど、どうしたと言うんだ? 」
親父が訝しげに聞いた。
「こ、これは私の大切にしていたアニメのフィギュアです! 」
ルイス中尉が魂の叫びをあげた。
「何だって? 」
国王が叫んだ。
「くくっ、卑怯な真似を! 」
「分かるぞ! ルイス君の気持ちは! 」
宰相もイジュウイン大公も同意した。
何と言う作戦。
アニメオタクだらけのこちらの世界には一番効くのでは無いか。
「むう、孔明並みの作戦だな」
親父が重々しく答えた。
いや、孔明はフィギュアなんか使わないし。
「駄目だ。我々には手を出せない」
国王ががっくりと項垂れた。
「卑怯だ。卑怯すぎる」
宰相も膝をついた。
それを異界の化け物でも見るような目で部屋にいる軍人さん達と許嫁達が見てる。
「ぐはっ! 」
しかし、鈴は容赦せずに、この素晴らしい〇界に祝福を!のめぐ〇んのフィギュアの持つ果物ナイフでルイス中尉を次々と突き刺した。
「たとえ刺されても、めぐ〇んのフィギュアだけは駄目なんです」
ルイス中尉が口から血を吐いた。
「ルイス君! 」
国王が叫んだ。
ルイス中尉の筋肉が堅いのか、ナイフが抜けなくて、ナイフが全身に刺さりまくったままでルイス中尉が仁王立ちして動かない。
「こ、これは……」
宰相が唖然とした。
「むう、武蔵坊弁慶か」
親父が涙ぐむ。
ルイス中尉よ永遠に。
皆で、その神々しいまでのルイス中尉の仁王立ちの姿に国王達とともに涙を流しながら敬礼した。
第一部の第一章と第二章を少し中身を変えました。
前から気になってたので、すいません。




