第四十三部 第三章 絶対者
「じゃあ、こっち側の対策ってどうにもならないのか……」
祝融さんの困惑がハンパ無い。
「<終末の子>って絶対者ですから」
アオイが答えた。
「笑えない」
祝融さんが頭を抱えた。
「まあ、仕方あるまい」
親父が笑った。
「となると、お前さんがこちらで勝手に許嫁を作りまくったのも悪手じゃないな。さては、考えてやったな? 」
祝融さんが親父を覗き込むように見た。
「さあ、どうだか」
「これだけの絶対者になると、後は情しかないからな。お前さんアホそうに見えて、実は無茶苦茶先を読んでるからな」
祝融さんがにやりと笑う。
馬鹿に見えて、意外と考えてるのは確かだから、そうなのかもしれない。
「でも、鈴と人魚姫は無いんじゃないの? 」
ミツキがぶすっと言った。
「まあ、あれはイレギュラーだ」
親父が笑った。
「そういや、人魚姫も鈴も諦めてないぞ」
祝融さんがヤバイ事言った。
「は? 」
俺が驚愕した。
「まあ、これが最後のチャンスだと思ってるだろうしな。馬鹿馬鹿しいから、もう関わらないって言ってた雛とは違うよ」
祝融さんが笑った。
「もう、ババアも居るし、四十ニ歳くらい気にしなくてもよかろう」
龍女さんが冷やかだ。
「ええ、でも、魚臭いのと一緒にするのは嫌だな」
麗が嫌な顔をした。
それを聞いて、孫可愛いの祝融さんが落ち込んでる。
何だか、地雷が多いな。
「そういや、四十六諸侯だっけ? あの二人と組んだらやばいんじゃない? 」
ミツキが嫌な事言った。
いきなり、話がホラーに変わるやんか。
「無いとは言えんなぁ」
親父が考え込んだ。
「なんでよ、俺を殺したら意味ないじゃん」
「いや、あのくらいの二人だと、どうせ自分のものにならないなら、殺して永遠に私のものにって考えてもおかしくないな」
祝融さんもやばい事を言った。
正直、聞いていて身震いがした。
あんまり、ホラーっぽいの好きじゃないんだよね。
「とりあえず、結界張ってあるから、連中は入れないんでしょ」
俺がアオイに聞いた。
「ええ、ただ、中にすでに入ってたら別ですよ」
言いながら、食堂の出口をじっと見てる。
気になるので、アオイが見てる所を見た。
ドアの影にちょこちょことこちらを覗いてるのがいた。
それは市松人形だった。
俺を見つけたようで、じっとドアの影から固定したように見てる。
「えーと」
あああああああああ、現実逃避したい。




