第四十三部 第一章 プロローグ
ヤマトも超金持ちだと思っていたが、母さんも超金持ちらしい。
まだ他にも島ごとの別荘がいくつもあるらしく、今、そちらに向かっている。
いつものパターンだと、ここらでエッチなのだが、流石に母さんの手前出来ないし、そもそも部屋が無い。
母さんは小声でぶちぶち言いながら、イライラして一人で座ってる。
「まあ、慣れるまではしょうがないよな」
親父が凄い良い笑顔でポンと俺の肩を叩いて、囁いてきた。
「そうだね」
俺も頷いた。
横で、カザンザキスさんが凄い顔してるけど。
ルイス中尉や、あれからこちらの艦艇に乗って来たスコット中佐はもう慣れているようだ。
ひょっとすると、ドンドン腐った人間が増えて行くのかもしれないが、考えないようにしよう。
あれから、一部で誰かがスマホで撮った奴がいたらしくて、それがユーチューブとかに乗って怪獣大戦争として影の映像が流されて、それの隠滅でさらに母さんはイライラしてるようだ。
とりあえず、今度、日本に着いたらカルシウム錠を買ってプレゼントしようと思う。
爆龍ゴウオウが飛んできて軽空母の上に乗ったので、アオイがとりあえず、空間断層で艦隊ごと見えない様にしてる。
航路から離れた都合のいい島は、近辺にさっきの島しか無くて、次の島まではこれで行くしか無いようだ。
「そう言えば、ディエムとかフランソワとかどうしたの? 」
祝融さんにアナスタシアが聞いた。
「いや、彼女達は一旦どうするか考えるって話で、一応、実家の方に帰ったよ」
祝融さんが答えた。
「へー、やっぱり、抵抗はあるか」
アナスタシアさんがヒモ・モードの話をしている。
胃が痛い。
「それに、今回の破壊を見ればな。まあ、私達はだいぶ慣れてしまったけど」
スコット中佐が苦笑した。
向こうの母さんがピクリと動くので、その話はやめてほしい。
「大体、あの方に対抗するために許嫁を集めてるのだろうが、意味あるのか? まあ、お前と旦那の気持ち次第だが、今のままでは難しいのではないか? まあ、もう一人の御方が味方すれば別だが、そうなると次元を超えた大戦争になるぞ? 」
囁くように大きな口が言った。
声が通るタイプなので、皆に聞こえる。
大戦争?
さっきの大破壊を見てるので、軍人さん達全員が身震いした。
とりあえず、聞かなかった事にしようと思ってたら、母さんが立ち上がった。
洒落にならない。
「どういう事なんですか? 」
震えるように母さんが聞いた。
「最上位禁忌です」
アオイが返した。
「ああ、まあ、そうだな」
大いなる口もそれを思い出したかのように黙った。
「つまり、現世での母たるものにも伝えられないと言うのですね」
母さんの声が震えてる。
「許可が出れば、最初にお伝えしますわ」
アオイがすまなさそうに答えた。
母さんが仕方なしに元の席に戻ると、ブチ切れて壁を蹴り破った。
脱出用のフリゲート艦が揺れる。
とりあえず、見なかったことにしよう。
それしかない。