第四十二部 第十五章 第二ラウンドの始まり
「そちらの神族の方は<結末の時>をどうお考えなのですか? 樹老人殿」
母さんがソファーに深く座りこんで深い深いため息の後に樹老人さんに聞いた。
「ふむ、わし個人としては戦い合って勝つものが生き残ると言うのは避けたいと思っておる。業に業を重ねるようなもんじゃからな」
樹老人がソファーの上に立ちながら答えた。
「他の方の意見はどうなんです? 」
「それが、それどころで無くなったと言うのが本当の答えかの。昔からおかしいなと思っていたのだが、<終末の子>の正体と言うか、その実像が禁忌になっておった。わしは、<結末の時>の問題もあるからと思っていたが、今回上の詳しいものに調べて貰ったら、最上位禁忌であった」
「ええっ? 」
母さんの動揺がハンパ無い。
「<終末の子>の前世とやらが関係してるのだろうが……」
樹老人さんの声の歯切れが悪い。
「むう、何か前世で巨大な災厄を起こしたのでは……」
クニヒト大佐が余計な突込みを入れた。
「兄弟なら、あり得るな」
アポリトも酷い。
「人類を滅ぼしていたとしても、俺的には不思議でないと思うぞ」
カルロス一世も真剣な顔だ。
「ど、どーして、そんなネガティブな話ばかりするの? 」
俺がたまりかねて聞いた。
実を言うと、俺だけが気がついたのかもしれないが、アオイがカルロス一世の発言でピクリとしたので、不安がハンパ無い。
胃が痛すぎる。
周りを見回すと、カザンザキスのお爺さんがアオイの様子を見てたようだ。
アオイと俺を見たまま、瞳孔が開いてる。
「……あの金髪碧眼の超絶ハンサムな顔の方が前世なんでしょ? 」
ここでチアンウェイが柱の影からここに水爆を落とした。
「「「「は? 」」」」
母さんとか樹老人さんとかの動揺がハンパ無い。
「最上位禁忌です! 」
アオイが凄い威圧で言った。
「あ、そっか」
とチアンウェイが言ったものの、それで皆が収まるわけでは無い。
「何で、あの子だけ知ってんの? 」
ゴゴゴゴゴって感じでミツキが憤怒の表情で立ち上がった。
「あれぇ? あれぇ? あれぇ? 」
レイナさんやキョウカさんが氷点下の気配を拡げる。
「わしも同じく妻になるものでは無いか。一部のものだけに教えるのはいかんのではないのか? 」
龍女さんが無茶苦茶悲しい顔してる。
ゼブがあちゃーって顔で、アオイを見た。
アオイも困った顔してる。
いや、雪龍さんが誰か知ってたのでまずいのに……。
などと思ったのが大失敗でした。
本当に人生を誤ったと反省しております。
「雪龍さんにも見せたの? 」
カガさんが心を読めるのを忘れてました。
「あのババア」
抑揚のない声で、龍女さんがゆらりと立ち上がった。
「どういう事かしら。新参者が……」
シャーロットとエレネもゆらりと立ち上がった。
許嫁の目が爆龍王ゴウオウとつばの掛け合いをしている雪龍さんに向けられている。
どひぃぃぃぃ。
そして、破壊の第二ラウンドの鐘が鳴った。