第五部 第八章 グアルダ炎上
王宮の破壊された壁の所に、爆龍王ゴウオウがいる。
おいおいおいおいおい!
何を考えてんの?
と思いきや、なんとペドロ王太子も知らなかったらしい。
凄い動揺してる
「ななななななななな、なんだ、これは? 人間では無かったのか? 」
「はい。アレクシアで救世主に騙されたと言えば、この爆龍王ゴウオウ以外ございません」
ロドリゲス伯爵が胸を張った。
ば、馬鹿なのこいつ。
騙されたのは爆龍王ゴウオウ以外無いなんて言えば、爆龍王ゴウオウが聞いたらブチ切れるに決まってるじゃん。
目の前で言う奴がどこにいるんだ。
思った通り、爆龍王ゴウオウの口元がピクピクしてる。
ペドロ王太子は焦りまくっていた。
「ペドロ王太子様、救世主はこのゴウオウを騙して操って見せました。でも、私はペドロ王太子様にもそれは出来ると思います。こやつを操るのです。こやつを操れれば、パドリダなぞ一撃で灰ですぞ」
ロドリゲス伯爵がさらに胸を張った。
爆龍王ゴウオウが凄い怒りで震えてる。
天然物か。
こいつら天然物の馬鹿なのか?
「分かったぞ! ロドリゲス伯爵。なあに救世主など名乗っていても、所詮ヤマトの王族の一人! 王太子たる私とは比べ物にならぬわ! よし、私がこのゴウオウを操って、パドリダなど灰にしてくれる! 」
王太子が慌てて胸を張った。
「流石は王太子様です」
ロドリゲス伯爵が拍手した。
「ああ、こりゃ駄目だな。こりゃ駄目だ。」
アポリトが小声で呪いの様に呟いた。
爆龍王ゴウオウが口から光線を吐いて、王宮の壊れてない壁を貫いて、向う側の街にキノコ雲の爆発を起こした。
「どう操るのか。見せて貰おうか」
地獄の王のような声で爆龍王ゴウオウが破顔した。
「では、私はこの諸島国家の盟主たるテーラの王太子たるペドロである。爆龍王ゴウオウよ。そなたは私の言う事を聞くのだ」
ペドロ皇太子が爆龍王ゴウオウの前に進み出た。
「さすがは、ペドロ王太子様です」
ロドリゲス伯爵がペドロ王太子の言葉に酔っているように見える。
ナルシス入ってんのかな?
ヤバイな。
そして、ロドリゲス伯爵が爆龍王ゴウオウの前に進み出た。
「さあ、爆龍王ゴウオウよ。ペドロ王太子の前に跪くのだ」
そのロドリゲス伯爵を爆龍王ゴウオウがぷちっと踏みつぶした。
「ああああああああ! ロドリゲスぅぅぅぅ! 」
ペドロ王太子が叫んだ。
ロドリゲス伯爵は蚊の様に潰されて死んだ。
でも、サイズがでかいからグロイ。
そのままペドロ王太子は気絶して倒れた。
弱っ!
「どうしょう。逃げちゃ駄目かな」
小声で俺が皆に聞いた。
「「「待って、待って、待って」」」
サンシュ一世国王とウラカ第一王妃とフレイタス公爵が必死の顔でこちらにすがる様に首を振った。
「お爺様との関係考えると、ちょっと逃げにくいですね」
アオイが答えた。
「しかし、ゴウオウとやるとテーラに凄い被害が出るよ。だから、駄目だよね」
サンシュ一世国王とウラカ第一王妃とフレイタス公爵が手を合わせてお願いするようなしぐさをした。
困ったな。
「ここで、テーラに被害が出ると俺の商人としての未来が……」
「頼む。責任はわしが取る。だから、助けてくれ」
サンシュ一世国王が必死だ。
「しかし、勝てるかどうか分かんないし」
「頼む。助けてくれ」
サンシュ一世国王が再度頼んだ。
ウラカ第一王妃とフレイタス公爵が拝むようにしてる。
アオイやミツキを振り返ると頷いた。
「し、仕方ないか」
「ほう、わしに勝てると申すか! 」
爆龍王ゴウオウがあざけるように言った。
「ワイバーン! 」
アオイが叫んだ。
ワイバーンが上に飛んできて、口にくわえた刀袋を、崩れた王宮の屋根の穴から俺に投げてよこす。
俺がそれを受け取って、刀袋から刀を出して抜いた。
戦う為に、商人として右手の紋章にしまわせてた甲冑を全身に着装させる。
「面白い。相手をしてやる! 」
爆龍王ゴウオウが叫んだ。
「構え」
俺が轟天を抜いて構えた。
刃が炎の揺らめきを上げる。
「ご、轟天」
サンシュ一世国王が驚きの声をあげた。
ウラカ第一王妃とフレイタス公爵がその声に驚いたようにこちらをマジマジと見た。
「ワイバーンを借りるよ」
ミツキがアオイに言った。
次々とワイバーンが車掛りのように王宮の空をまわりながら、繰り返し爆龍王ゴウオウに炎を浴びせかけた。
王宮が次々と燃えていく。
後の世にグアルダ炎上と言われる戦いが始まった。
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