第四十二部 第五章 力の委譲
「何、これ? 」
「外の結界からものすごく大きいのが、結界ごと島を揺らしてます」
「嘘でしょ」
母さんがアオイの言葉に驚いた。
「ここは地下から岩盤のように張り出してる島なのに、それを揺らせるなんて」
祝融さんが驚いた。
俺達が別荘の窓を見ると、高さ数キロはあるような黒い人のような影が母さんが張っているような結界ごと揺らしている。
別荘のあちこちから軍人さん達の驚きが伝わってくる。
「ガムビエル。やってくれ! 」
俺が叫んだ。
それと同時に姿を消していたガムビエルが姿を現す。
足だけで一キロ以上の長さなだけに、黒い影ほどでは無いが、相当でかい。
また、別荘からどよめきが響く。
「やっぱり、影の半分くらいだな」
そうは言っても、でかさでは半分くらいだ。
しかし、ガムビエルはひるまず、光の輪を何度も黒い巨大な巨大な人の陰にぶつける。
「ぐぁああああぁぁぁ! 」
その度にダメージがあるらしく、巨大な人の影は叫びをあげた。
巨大な人の影がチョップをガムビエルにくらわした。
ガムビエルがぐらっと揺らぐ。
「あ、まずいですね。ガムビエルは格闘は弱いです」
アオイが困ったような顔をした。
「しょうがない。力をお借りしますね」
アオイが言って俺に口づけをした。
「え? 」
俺が唖然とした。
「ちょっと、ヒモモードのせいかキスするといろいろとまずいですね」
頬を赤く染めて、ぺろりと舌を出したアオイは色っぽかった。
「「「エロゲー? 」」」
国王と宰相とイジュウイン大公が同時に呟いた。
と同時にそれぞれの娘達に膝蹴りを食らう。
「さあ、ゴウオウとリヴァイア。旦那様の力を貸します。貴方達の力で敵を撃滅しなさい」
岩盤に囲まれた基地の一部の上の岩盤が崩壊して、爆龍王ゴウオウが立ち上った。
歩いてるだけで地響きがする。
「おい、でかすぎないか? 」
親父が爆龍王ゴウオウを指差して言った。
どう見ても一キロ近い大きさになってる。
「いつものサイズでも、骨格的には体重支えるの無理なんだがな」
冷静に親父が言った。
「ぐはははははは! 気分が良いぞ! これが<終末の子>の力かっ! 」
爆龍王ゴウオウが大喜びで叫んだ。
「見よ、この力を! 」
爆龍王ゴウオウが口の当たりに光の玉の集束を始める。
「おおお、波動砲みたいだな」
膝蹴り食らって倒れてた国王が起き上がってのんきに笑った。
ゴォォォォォォオオオオォォォォッ!
爆龍王ゴウオウが火炎放射をした。
チュンと空気を斬るような音がして、遥か向こうの巨大な島に核爆弾のような爆発を起こした。
「おいおい、どこ撃ってんだ! 敵と違うじゃん! 」
全然違う方に、爆龍王ゴウオウが発射してる。
「ぐははははっ、試運転よ! 」
爆龍王ゴウオウが嬉しそうに叫んだ。
「おおおおい」
俺が呆れて突っ込んだ。
「確か、あそこは某国の島じゃ無かったですか? 」
祝融さんが固まったように言った。
「たくさん人が住んでたと思うんだけど」
母さんも固まった。
「まあ、あれだ」
親父が俺をちらりと見た。
「うん。見なかったことにしよう」
俺も笑顔で答えた。
だって、にんげんだもの。