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全部社会が悪いんやっ! 〜ある救世主として召喚された男の話   作者: 平 一悟
人物紹介は470から475のあたりにあります。
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第五部 第七章 謁見の間

 俺達がテーラの王宮につくと、たくさんのメイドや王宮の役人達が待っていた。


 とりあえず、挨拶しただけで帰るつもりだったので、正直、自分達の簡素な旅装に気まずさを覚えるほど、丁寧に扱われた。


 一応、用心にシーサーペントが持っていた轟天(ごうてん)はワイバーンに持たせ、もしもの時はテーラの王宮に持ってこさせるように準備はしていた。


 だが、その心配は無用だったらしい。


 凄く丁重に扱われた俺達は王宮の謁見の間のサンシュ一世国王とウラカ第一王妃の前に導かれた。


 豪奢ではあるが、それよりも歴史を感じる玉座に座るサンシュ一世国王は、俺達が跪こうとすると、それを止めて人払いをするようにフレイタス公爵に手で指示した。


 サンシュ一世の側近のフレイタス公爵と数人の衛士は残ったが、サンシュ一世国王の人払いでそれ以外の人間はいなくなった。


「この度はペドロ王太子が大変迷惑をかけてすまなかった」

 

 サンシュ一世国王が頭を下げた。


 え?


 下っ端かと思えば、まさかの王太子が首謀者だったの?


「カザンザキス殿には心配していただいて、ペドロ皇太子がこれ以上暴走せぬように、第二王妃のマリナの産んだ弟のアルフォソを、パトリダの五大家族のファミリアのテオトキス家に娘婿とするようにはかって貰ってすらいたのに、一体、何が不満なのか」

 

 国王が項垂れた。


「本当は、ここに第二王妃のマリナ殿も一緒に謁見して貰うはずだったのに、それまで遠慮していただいて、本当に本当に申し訳ありません」


 ウラカ第一王妃が涙を流した。


「ペドロは昔いろいろあってぼっちでな。最初に出来た側近と言うか家臣と言うか友達がロドリゲス伯爵だったので、すっかり、彼に感化されてしまってな」


 国王が本当に困ってるようだ。


「ぼっちだったのか。それなら仕方ないな」


 俺の横の義兄弟のアポリトが小声で呟いた。


「兄弟。その通りだ」


 俺が小声で返した。


「本当は、ロドリゲス伯爵をペドロ王太子から離せばいいのですが、どうしても可哀想でできず」


 ウラカ第一王妃が顔を覆った。


「素直に少し年上でしょうが、フレイタス公爵をペドロ王太子の側近にすれば良かったのでは? 」


アオイがサンシュ一世国王に聞いた。


 アオイはカザンザキスさんの関係で、どうもサンシュ一世国王やウラカ第一王妃とも面識があるらしく、凄い提案をした。


 俺は今の身分は商人だから、とても言えないや。


「いや、私、実は若く見られますが、もう、四十半ばですので……」


 フレイタス公爵が笑って答えた。


  え?


  若っ!


 ヤマトとえらい違いだって言うか、ヤマトが異常なのか。


「そうだったのですか、すいませんでした」


 アオイも驚いて謝った。


「いえ、いいのです。私も若く見られてると聞いてうれしいですし」


 フレイタス公爵が嬉しそうに笑った。


「あの、国王陛下に第一王妃陛下。もう、私は気にしておりませんので、気になさらないでください」


 俺は笑顔で答えた。


 ぼっちなら仕方あるまい。


「いやいや、そういう訳にいかん。カザンザキス殿には世話になっているし、コゴロウ殿はカザンザキス殿の孫娘の婿殿になるかもと聞いておるし」


 サンシュ一世国王がかぶりを振った。


 その時、謁見の間に、ペドロ王太子とロドリゲス公爵がずかずかと入ってくる。


「父上、パドリダの者どもに騙されてはいけません! 奴らはテーラの持つ諸島国家の盟主を狙っているのです! 」


ペドロ王太子が叫んだ。


なるほど、少し神経質そうな感じだ。

 

「諸島国家の盟主って? 」


 俺がアポリトに小声で聞いた。


「兄弟。テーラが勝手に言ってるだけだ」


 アポリトが小声で教えてくれた。


 なんじゃ、それ。


「そんなものは無いと言っているではないか」


 サンシュ一世国王が困り果てたように言った。


「皆が昔から我が国の事を、そう言っているのですぞ」


 ペドロ王太子が胸を張って言った。


 俺がちらりとアポリトを見た。


「テーラが言い出して、誰も否定せんかったから、そう言う風に言われるようになっただけ。つまり、自称と言う事だ。兄弟」


 アポリトがさらに小声で言った。


 つまり日本三大なんちゃらみたいなもんか。


 あれ、殆ど自称だからな。


「カザンザキス殿がテーラに変な勢力争いが起きぬように、いろいろと気を配って貰っておるのに、何故、そんな馬鹿な事を言うのだ」


 サンシュ一世国王が腹立たしげに答えた。


「父上! いいですか! そのコゴロウと言うものは、あの救世主の元でアレクシアを滅ぼすのを手伝った男ですよ! 何故、パドリダの野望が分からないのですか! 」


 びっくりして、俺が周りの仲間を見た。


 全員が知らないと言うように首を振る。


「野望があれば、次男のアルフォソをパトリダの五大家族のファミリアのテオトキス家に娘婿にする手伝いなぞせずに、この王家を狙うわ。なぜ、それが分からん。第一、コゴロウ殿は商人だぞ」

 

  サンシュ一世国王が呆れ果てたような顔をした。


「お待ちください。 実は、アレクシアで救世主に騙されたものが居るのです。今、そのものをお呼びいたします。それであの者の事を証明してみせます」


 ペドロ王太子がロドリゲス公爵に顎でそいつを連れてくるように合図した。


 ヤバイかも。


 一体、何者だ?


 脂汗が出る。


 ただ、ロドリゲスが窓の向こうに合図した。


 なぜ、窓の外?


 王宮の壁が突然の轟音とともに破壊された。


 王宮のあちこちから悲鳴があがる。


「一体、何事だ! 」


 サンシュ一世国王陛下が叫んだ。


 崩れ去った王宮の壁の前に何か巨大なものが現われた。


 懐かしくも会いたくないものだ。


 そう、爆龍王ゴウオウである。


 



 引き的にいいんで、今日は三章投稿します。 そのかわり、明日は一章投稿にするつもりです。


 後、ブックマーク登録ありがとうございます。


 続けて読んでいただけるだけで本当にうれしいです。 


 本当にありがとうございます。


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