第四十一部 第十章 エピローグ
「何か、また、さらに変な話になってるのね」
突然、目の前に母さんが立った。
まさかの母さんもテレポート出来たのか。
即座に俺が土下座した。
親父も磔台がどこかへ行って伊達正宗コスプレが駄目だと分かったのか、五体投地を始めた。
くそっ、見よう見真似では、あの五体投地の美しい完成度に勝てない。
良く分からんが、国王と宰相とイジュウイン大公も並んで五体投地をしている。
何か、凄く美しく綺麗にチベットの高僧並みの五体投地をやるので、まさか、ヤマトの伝統芸なのか?
「とりあえず、五体投地とか辞めてもらえますか? 話も出来ないし」
親父達が五体投地を母さんに突っ込まれてやめた。
俺も土下座をやめて立ち上がろうとした。
「旦那と息子は正座してなさい。皆さんに迷惑かけてんだから」
言われて、慌てて、親父と並んで正座した。
「にしても、まさか、貴方が四十六諸侯とは」
母さんがゼブに話しかけた。
「うん。内緒にしないといけなかったからね」
ゼブが笑って答えた。
「え? この方をご存知だったんですか? 」
祝融さんが驚いた。
「ええ、息子が産まれる前から、ちょくちょく覗きに来てたの」
「マジで? 」
俺がゼブを見ると顔を真っ赤にして頷いた。
「早く産んでとか、早く大きくならないかなとか、いつも言っては消えてたんだけど」
母さんが少し呆れ気味で答えた。
どんだけやねん。
産まれる前からストーカーって凄くない?
「だって、急がないとって必死だったんだよ。大きくなった時に何度か妻になろうと思って、金縛りをかけたんだけど、襲ってくれないんだもの」
ゼブが悲しそうに言った。
「ひょっとして、金縛りの時に現われてた少年みたいな少女って……」
「うん。僕だよ。何だ気が付いてたなら、抱いてくれればいいのに」
「いや、金縛りの時って動けないから金縛りと言うんじゃないの? 」
俺が答えるとゼブがはっとした顔で固まった。
どこか、相変わらず抜けてる子だな。
「私も同じようにすれば良かったな」
アオイが横で怖い事言う。
「何で、うちの子がそんな風に皆に狙われるわけ? 」
「好きだから」
ゼブがうるうるとした目で真赤になって母さんに答えた。
やばい。
答えになって無い。
「その辺は禁忌です」
アオイがかわりに母さんに答えた。
「私も申し訳ないけど、自分の子の事だから知りたいんだけど」
母さんが困ったように聞いた。
「お義母さまにそう言われると辛いのですが、もう少しないと許可が出ないので」
アオイが申し訳なさそうに言った。
と言うか、すでに義母さんアピールしてるし。
そもそも、許可とかあるのか?
「で、貴方も四十六諸侯なの? 」
母さんがアオイに聞いた。
「私は別家です」
「「「ええええええええ! 」」」
母さんと親父と祝融さんが叫んだ。
「な、何が起こってるのですか? 」
突然、母さんが敬語になった。
「凄く凄く大切な事です」
アオイが答えた。
母さん達が凄い顔してる。
何だ、別家って……。
良く分からん。




