第四十一部 第九章 四十六諸侯
「いや、人間じゃ無いでしょ」
ゼブがニコリと笑った。
あどけない笑顔だ。
実は、まだこの子とはやって無い。
キスすると気絶するもんで……。
「さーてと、そろそろ本来の僕の性格に戻るかな? やっぱり女の子らしくすると疲れるや」
セブが言うと喋り方が私から僕になると同時に髪の毛が足元まで伸びた。
身体を背伸びさせてイキイキとしてくる。
ええええ、猫でも被ってたのか?
「僕さぁ、こないだまで両方あったんだよね。貴方の御嫁さんになりたかったから、女の子を選択したけど、元はこういう喋り方と性格でさぁ」
ゼブが笑いながら俺を見た。
つまり、カガさんと同じ両性具有?
するとカガさんもいずれ女性になるって事か?
良く分からん。
キキーン!
俺と親父の土下座のしてる上で、突然に何かが弾かれた。
ゼブの伸びた髪の毛が触手のようになって、鞭のように蠢いて何かを弾いたようだ。
「だーめだめ。そんな隙をついたような攻撃したら、君が実は弱いって分かっちゃうよ? 」
ゼブが凄く楽しそうに笑った。
喋り方が男の子っぽく変わるとともに動きが凄く俊敏になった。
「え? 弱い? 」
祝融さんが凄い顔してる。
ゼブの髪の毛がさらに伸びで何十本もの触手になって、見えないスピードで動いて、空間の何かを弾いてるようだ。
空間に金属音と共に火花が飛び散ってる。
そして、壁に飛び散った黒い墨のようなドロドロの水滴が飛び散った。
「ははは、遅い遅い」
セブが笑う。
「ちっ」
辺りが震えるような舌打ちが聞こえた。
と同時に深雪の背後にアオイがテレポートして、虚空を蹴りあげる。
すると、また、壁に黒い墨のようなドロドロがべったりとついた。
「乗っ取りは困りますね」
アオイが笑った。
流石に襲われかかった深雪が震えてるので、さくらが抱きしめた。
「くそっ」
吐き捨てるように何かが言った。
サブイボが出るほど、不気味な感覚だ。
だが、その後、静かになった。
「逃げましたね」
アオイが笑った。
「うん。あいつ、奇襲しか出来ないから」
ゼブが笑って答えた。
「き、君は……」
祝融さんが凄く驚いてる。
「うん? 禁忌だから名前は言えないけど、四十六諸侯の一柱だよ」
ゼブが笑った。
祝融さんがト〇とジ〇リーのト〇みたいな顔で驚いてる。
こういう顔芸も出来たのかと感心した。
「ど、どうなってるんだ? 」
和真が俺をじっと見てる。
「とりあえず、まだあの方とはそういうのは、やってません」
俺が冷静に和真の疑問に答える。
「そんな事ぁぁああ聞いてないんだがぁぁああ? 」
なんか、和真が血圧上がるように叫んだ。
「本当だよ。早くしないと出遅れちゃうのに。一生懸命女の子っぽくしてたのに全然駄目なんだもん。もともと僕が色恋沙汰とかから遠かったからかな? 」
ゼブが本当に困った顔をした。
「そうですね。急がないとまずいですよね」
アオイが凄く不穏な事を言った。
「僕が気絶しても構わずして奪って欲しいんだけどな」
うるうるした目でゼブが俺を見た。
「私も手伝いましょう」
アオイが頷いた。
何だろう。
本当に凄く不穏な話をしている。
どゆこと?
「急がないとまずいのか? 」
「だって、一杯狙ってるのがいるから先を越されちゃう」
じたばたするようにセブが両手を振りながら親父に答えた。
「ひょっとして、上位天使とか四十六諸侯とかの間でも、許嫁になろうと言う動きでもあるのですか? 」
カザンザキスさんが恐る恐るゼブに聞いた。
「うん。本丸が来たら手を出せなくなっちゃうしね」
ゼブが無邪気に笑った。
何だよ、本丸って。
「本丸って? 」
「禁忌だし内緒っ! 」
凄い無邪気にゼブが笑った。
「正直、旦那さんになれるんだったら、この程度の星雲なんか消してもいいやってのも居るからね。まあ、もっとも今はいろいろ制限かかってるから、上位天使も四十六諸侯も持ってる力の千分の一も使えないしね」
ゼブが無邪気に凄くやばい事を言う。
星雲。
ついでに、そんなに制限されていてあの強さか。
冗談に聞こえないので、聞いていた皆が真っ青になった。
祝融さんですら恐怖を感じているようだ。
「まあ、言うなら許嫁大戦ですね。これから始まるんですよ」
アオイがいたずらっぽく笑った。
話が凶悪すぎて笑えません。
 




