第四十部 第七章 帰国へ
「なるほどな」
俺達の向こうの世界行きの話を説明されて、国王が頷いた。
「よし、それなら、我々も向こうの世界へ行こう」
「何で、行く話になってんの? 」
「おいおい、俺の話を聞いてたのか? 兄貴」
親父も焦ってる。
「大丈夫だ。向こうも支配者と言う地位のある立場だ。こちらの国王と宰相であり、しかも旦那の兄と弟が行けば、まさか、その前で制裁なんてしないだろうよ」
国王が余裕たっぷりで答えた。
「なるほど、お父様にしては素晴らしい卓見ですね」
レイナさんが頷く。
お父様にしてはでレイナさんの父親への評価が分かるのが辛い。
「何か、悪いオチがつくんじゃないの? 」
ミヤビ王女が呆れたように答えた。
横でキョウカさんとかが同意して頷いてるのも辛い。
「……秋葉原でお買い物ですか? 」
ルイス中尉が考え込んだ後、答えた。
「むう、私の心を読むとは、何者だ」
国王が慌てたようにルイス中尉を凝視する。
「ふっ、ただのweeabooですよ」
ルイス中尉の歯がきらりと光る。
「おお、こんな逸材がいるとは」
宰相が感激してルイス中尉と握手した。
「結局、買い物に行きたいだけなのね」
「ついでだぞ、ついで」
国王の目がそう言いながらも、秋葉原に心を奪われてるのが丸わかりだ。
くっ、正直すぎる。
「まあ、金持ってるしな」
「だろう。転生の時は向こうでそこそこの中流階級で、あまり贅沢できなかったからな」
国王が懐かしげだ。
「今なら、アッシュケースにいくらでも金詰めれるほど金持ちですしね」
宰相も頷く。
「一度、店の商品を全部くださいってのをやってみたかったんだ」
嬉しそうにイジュウイン大公が言った。
「待ってください。世界中のweeabooはお金を貯めて、やっと日本に来て、アニメグッズを買うのです。彼らの楽しみを奪ってはいけないと思う」
ルイス中尉がキリリと制した。
「「「おおお」」」
国王達の目がうるうるしてる。
「貴方はまさにweeabooのweeabooだ。weeabooの神と呼ばさせて貰おう」
国王とルイス中尉ががっしりと握手した。
それを宰相とイジュウイン大公が拍手する。
やばい、馬鹿にしか見えない。
キョウカさんとかアンナさんまですごい顔してる。
「凄い恥ずかしいんだけど……」
レイナさんが小声で囁いた。
切ない。
ドラゴンのヒモと言い、もうまともにはヤマトはこの世界の国々にに相手されないんじゃないのか?
「待ってくれ! 」
親父が異を唱えるかのように声をかけた。
国王達が訝しげな顔をした。
「俺にも金を貸してくれ」
親父が国王達に頼んだ。
「お前もかぁぁぁ! 」
ミツキが親父に飛び膝蹴りをかました。
まるで母さんの膝蹴りのようだった。