第四十部 第五章 説得
「「「「私達も帰るべきだと思います」」」」
シャーロットと麗とエレネとアナスタシアも言ってきた。
むう、ヤバイ流れだ。
このままだと帰ることになりそうだ。
何とかしなければ……。
ちらりと親父を見ると同じ事を考えているようで目があった。
「膝蹴りの後、頭を掴んで連続顔面膝蹴りはほぼ決まりだからな。前回、川の向こうで親父が手を振ってから、ちょっと今度はどうなるやら」
親父か小さなため息をついて呟いた。
「ええ、おじいさんってヤマトの前国王だろ? ヤマトの方も三途の川を渡るの? 」
「むう、あの時、見たままを喋ってるだけだからな」
「そうか」
「え? お義母様って武闘派だとは思ってたけど、そんな事するの? 」
シャーロットが驚いたように言った。
「結構膝蹴りが得意なんだ」
俺が頷きながら答えた。
「いや、そんな事聞いてないんじゃないかな」
ダグダ師匠が横で冷静に突っ込んだ。
「お前は知らないかもしれんが、バックドロップも得意なんだぞ」
親父が笑った。
「むう、コンクリとかにぶつけられたら効くからなぁ」
俺がしみじみ答えた。
「お前が産まれる前にはレインメーカーをやられた事がある」
さらに親父が俺を見て笑った。
「むう、オカダ・カズチカか……」
「何言ってんだか、全然分かんないんだけど」
横でクニヒト大佐が突っ込んできた。
「ジャーマン・スープレックスの体勢で相手の背後から相手の腰に手を回し、片腕で相手の反対側の腕の手首を掴んで、その手首を掴み取った相手の腕を自身の方向へと引っ張り込んで反転させ、その勢いで向かい合う形となったと同時に相手の喉元に自身の相手の手首を掴んでいない方の腕を叩き付けるわけだ」
言いながらクニヒト大佐に簡単にやって見せた。
「いや、そんな技の話はしてないから」
喉を押さえながら、クニヒト大佐が愚痴る。
せっかく教えてあげたのに、困ったものだ。
「まあ、私が頭を一生懸命下げるからさ」
ミツキがまあまあと言う感じだ。
「「「「私達も説得しますし」」」」
シャーロットと麗とエレネとアナスタシアも必死だ。
どうしょう。
親父を見た。
親父も困惑してるようだ。
「ど、どんだけ怖いのよ」
カルロス一世が呆れたような顔だ。
「少なくとも貴方の嫁三人合わせたよりは倍くらい怖いですよ」
「そうか、それは仕方ないな」
俺が言うと、カルロス一世が神妙に頷いた。
「何で、怖い人ばっかりなんだろうな」
カルロス一世のささやきが怖い。
「もし、旦那様に手を出すようなら、私が戦いましょう」
アオイが静かに言った。
いや、それもっとヤバイから。
横で親父とカルロス一世が凄い顔してた。




