第三十九部 第二章 夢Ⅰ
私はその光の創造主の娘に諭された。
その光の創造主の娘はテレサと言った。
「心と言うものは綺麗なものもあれば汚いものもある。貴方が好きだと思うものも嫌いだと思うのも心の働きなんですよ」
テレサは優しく私に説明した。
だが、分からない。
私にあるのは処分するもの処分しないものだけだ。
好き?
嫌い?
意味が分からない。
周りの光の創造主に作られた男達だけでなく女達も、私を良く思って無いようだ。
特に、テレサが私にべったりなのがいけないのかもしれない。
とは言え、この世界は今までの世界と違い、動物だの植物だのがあり、テレサがいないと訳が分からない。
特に、光の創造主にこの世界で生きるために、私に食べる事や水を飲む事など、いろいろな新しい出来事を皆と共に出来るように変えてくれたのもある。
お腹が減る、喉が渇くと言うのは新鮮な驚きだった。
そして、結婚と言う事もあるらしい。
男と女が結ばれるのだそうな。
面白い事を考えると思った。
そうして、二人の形質を受け継いだ新しい生命体が産まれるのだそうな。
ふと、テレサと森に居たら、向こうに巨大な巨大なドラゴンと呼ばれる動物が、少女を襲おうとしているのが見えた。
私にテレサが助けてあげてと言うので、そのドラゴンの前に行くと、光る剣を持って首を一瞬で斬り落とした。
これは、私が向こうの世界で処分するものを処分するために作り上げたものだ。
振り返って襲われてた少女を見た。
銀色の髪を腰まで伸ばした美しい少女で、その美しさはもっとも美しいと言われるテレサとも競うほどだった。
ただ、当時は美しいと言う感覚は無かったのだが。
それでも一つだけ気がついた。
この少女は異常に強い。
光の創造主ほどでは無いが私とそう変わらないレベルだ。
このレベルのものがいるのが驚きだった。
「これは、余計な事だったかな? 」
私がその銀の髪の少女に言った。
「へー、何だ。強いんだな」
その少女は私の顔をじっと見るとにっと笑った。
「ああ、それなりだがな」
私も笑って答えた。
この笑いは前の世界で覚えた、相手を油断させるためのものだ。
「良し決めた。お前、俺の旦那になれ」
いきなり、何か異様な力が込められた首輪をつけられて、私は引き摺られていく。
しかも、信じがたいスピードだ。
慌てて私を追っかけてたテレサが見えなくなった。
そして、いくつかの次元世界を超えて、薄暗い世界の巨大な城に連れられてきた。
そこは間違いなく、闇の創造主の城であった。
その娘は王城の門番らしい巨大な男に手をあげて門を開けさせると、そのまま闇の創造主の元に連れて行った。
闇の創造主は巨大な力を持つのがすぐに分かる黒髪の男で、なるほど光の創造主と顔は似ていた。
「アトラか、どうした? 」
その闇の創造主は首輪をつけて引き摺られてきた私をちらと見ると、その銀髪の少女……アトラに声をかけた。
「うん、婿を見つけたぞ」
アトラは屈託もなく、闇の創造主に言った。
「はぁぁぁああああ? 」
さしもの闇の創造主の驚きの声が巨大な謁見の間に響いた。




