第三十八部 第八章 エピローグ
たった一人その場に取り残されたアラトロンがいたたまれない顔をした。
放置されたままで格好悪いとも思ったのだろうか。
「き、貴様ら覚えていろ! 」
アラトロンがとりあえず良くあるセリフを吐いて、顎に噛まれたままで姿を消した。
むう、とりあえず、このまま続けるのは辛かったのだろうな。
何と言ってもアオイもいるから怪我してる状態で勝てないし。
ただ、せっかくのノリツッコミの上級者がこれでは、ちょっと残念か。
あいつが、うまい事オチをつけないせいで、空気は重いままだ。
「こ、殺し屋? 」
カザンザキスさんが呟いたまま顔を真っ青にして固まっている。
それを聞いてアオイが少し悲しそうな顔をした。
さらに空気が重くなった。
「おい、何とかアオイさんにフォローしてやれよ」
親父が起きてきた俺を肘でついて囁いた。
「ええーと、アオイは俺のハートの殺し屋と言う事だね」
俺が歯の浮くことを言ってみた。
あまりにクサくて下手くそな事を言ったので、言った後で凄く後悔した。
正直、言った後、しまったって顔をしてしまった。
少し手が震える。
もう少し、歯の浮いたセリフを勉強しとけばよかった。
横でアポリトとヨシアキ大佐とクニヒト大佐が恥ずかしさのあまり転げまわっている。
ニコライさんがさらに胃が痛くなったらしくてのたうちまわってる。
だが、しかし、時間差で光った。
これで光るのか。
それも、また、すげぇ恥ずかしい。
時間差なのに凄く光る。
「愛してます」
アオイが真赤になって俺を抱きしめてきた。
「私もー! 」
その後、女帝が目をハートにして俺とアオイを抱きしめてきた。
ええええええええええええ?
そう言えば、盾が無くなってる。
ほげぇぇぇぇぇ。
グォクイ将軍と近衛が全員で、女帝を引きはがす。
「早く、早く逃げてください! 」
グォクイ将軍の悲痛な叫びが響き渡る。
コンチュエの重要人物全員俺の嫁は流石に困るのであろう。
女帝のしがみついた手を必死に近衛たちが一本ずつはがしている。
全員の顔が真っ青だ。
くくくっ、ヤバイな。
「とりあえず、お爺様、いずれ本当のお話はさせていただきます。私は貴方の孫なのは間違いないし、それは私の誇りです」
アオイが振り返ってカザンザキスさんに言った。
おや、あまりヒモモード効いてないのか?
とりあえず、それを聞いて、元々孫が大事のカザンザキスさんに戻ったようで、柔らかい笑顔でアオイを見た。
「分かった。お前は私の孫には変わりないのだから」
カザンザキスさんが本当に優しい笑いを浮かべた。
横で、しがみついてる女帝の指をふんぎぎきぎぃとコンチュエの近衛の兵士達が引きはがしてるので良い話が台無しであるが。
どうにか、女帝を引きはがした所で、グォクイ将軍が必死の目で俺達を見た。
「では、行きましょう」
アオイが言ったので頷いた。
とにかく逃げなければ。
そう思ってたのだが、何故かテレポート先は俺があてがわれた貴賓室の寝室だった。
「え? 」
そこにはすでにトロトロの許嫁達がいて、いきなり抱きついて、ディープキスの絡み合いだ。
「ちょっと、ええええ? 」
見たら、リアンファさんとチアンウェイも居る。
待て待て待て待て!
何で、こうなってんの?
と思ったところで、ムラサキが一升瓶に入った精力剤と興奮剤を俺の口に流し込んだ。
ほげぇぇぇぇぇぇぇ。