第三十八部 第五章 剣技
「何で、前世のお前が増えてんだよ! 」
アラトロンが叫ぶ。
「失敬な、親子なだけだし」
「な、何で、こんなにそっくりなの? 」
「親子だもん」
俺と親父が良い笑顔だ。
「な、何、良い話にしてんだよ! 」
アラトロンがブチ切れる。
「ああああああああああああああああ! 」
ゾンビのバルトロメウス王が絶叫をあげて、剣を振り上げると別邸に乗りこんで来た。
「おお、あの時は済まんな」
親父が深々と頭を下げた。
ゾンビのバルトロメウス王が親父を斬りつけた。
親父がそれを避ける。
「おおおおおおお! 」
バルトロメウス王は容赦せずに、親父にニ撃目三撃目と加えて行く。
しかし、親父は軽くそれをすり抜けた。
「参ったな」
バルトロメウス王の配下のゾンビが次々と俺にも斬りつけてきた。
俺もそれを避ける。
「悪いけど。ゾンビで生きてるよりはいいよね」
俺が轟天を抜刀すると、次々とゾンビの首を斬り落としていく。
思ったよりゾンビ達は動きが俊敏だったが、この程度なら俺的には問題ない。
一瞬にして十体近いゾンビが首を失って動かなくなった。
「嘘だろ。めちゃくちゃ強い」
ニコライさんが驚いた。
「彼、異常なくらい強いから」
「ヤマトでも最強だと思いますよ」
クニヒト大佐とヨシアキ大佐が答える。
「じゃあ、何であんな感じなの? 」
ニコライさんが呆れたように聞いた。
「「「「「性格です」」」」」
皆が一斉にニコライさんに答えた。
ニコライさんがああって顔して黙った。
「親父……」
数十人のゾンビをさらに一瞬で斬り伏せながら、俺が親父を見た。
「……ああ、そうだな。本当に悪ぃな」
親父が頭をバルトロメウス王に下げると、懐から折りたたんだ三段式警棒を出すとボタンを押して伸ばした。
「悪いな」
親父が言うと、目にも見えないスピードで喉をへし折り、一瞬で剣を持つ手を叩き潰した。
親父は血まみれの三段式警棒を捨てると、すっとヨシアキ大佐の腰から勝手に刀を抜いて、そのまま抜く手を見せずバルトロメウス王の折れた首を斬り落とした。
それを見たゾンビ達が悲憤慷慨して、次々と乗り込んでくるが、それを片っ端から俺が首を斬り落とした。
こういうすり抜けての剣技と言うのは実は親父に習った。
古武道やってると手癖の悪いのが多くて、乱戦で指を極めてきたりいろいろだから距離感と言うのは凄く大事だと言われてた。
親父もバルトロメウス王の動かなくなった死体には目もくれず、次々とゾンビの首を斬り落としていく。
「む、無茶苦茶強いな」
普段は褒めないカルロス一世も感嘆した。
実は片刃の刀と違い、両刀の剣は相手を斬り落とす時、斬りつけた後、そのまま刃を返さずに戻して斬ったりする。
左右に刃があるから基本、両方を使う斬り方になる。
だから、それを計算に入れて、刀ですり抜けるように斬る。
一見、踊りのように見えるかもしれないが、これ自体は仕方の無い動きと言える。
その場に数百体のゾンビの首なし死体が転がる。
グォクイ将軍も近衛の兵士達も俺達の独特の剣技を感嘆とともに見守ってる。
「むうぅぅぅ」
アラトロンが呻きながらこちらを睨んでいた。
凄く悲しい話ですが、クルシミマスが本当にクルシミマスだったんで、悔しいのでもう一本今日は投稿します。
悲しい。
だれか、こんな私にブックマークのプレゼントを……。
しくしく……。




