第三十七部 第十章 テレポート
「「「「「「「「テレポートか! 」」」」」」」
皆が本当に驚いたように叫んだ。
「結局、逃げたんだ」
クニヒト大佐が呆れたように最初に突っ込んだ。
「いや、逃げてないんだが……」
ヨシアキ大佐の顔が歪む。
「それにしても、これほどの大規模なテレポートを初めてでしてしまうとは、流石、旦那様」
アオイが嬉しそうだ。
第一軍団の聖樹装兵の生体ビームが次々と発射されている。
うちのイージス艦も当たりそうな場所は当たれと20ミリ機関砲を撃ちまくってる。
勿論、アナスタシアのフリゲート艦もミサイル乱射状態だ。
第一艦隊から次々と兵士が飛び降りて切り込んでいく。
何という事でしょう。
全員でぶっちゃけ、敵の本陣のコンチュエの王城にテレポートしてしまったと言う。
並んでた大陸間弾道弾がコンチュエの木造の船に倒されて破壊されていく。
流石に誘爆もありそうだったけど、アオイが例の次元の割れ目を一瞬に作り、すべての大陸間弾道弾を次元のかなたに飛ばしたようだ。
コンチュエの王城はうちのイージス艦に潰されてぐっちゃぐちゃ。
コンチュエの敵兵の陣地は突然数メートル上に現われた第一艦隊の艦艇に踏みつぶされてぐちゃぐちゃ。
流石のチアンウェイもいきなりこちらの全軍が王城の上に現われるとは思わず、コンチュエの敵兵はぼろぼろになっている。
見てて悲惨なほどだ。
そして、こちらはたまたま大いなる口と戦うために臨戦態勢だった為に、一方的に撃ちまくり状態である。
さらに、人間を遥かに超えるドラゴネットのメス軍団の火炎攻撃であちこちが燃えていた。
そして、トドメの使徒ガムビエルである。
光輪をまるで掃除機か何かのように、下に向けると面で敵を蒸発させていく。
流石の強兵でなるコンチュエの兵士も無茶苦茶にされている。
「操られているだけかもしれんのに、良いのかな」
俺が恐る恐る皆を見回した。
ちょっと、殺し方がハンパ無い。
「止めよう無いんじゃね? うちの連中もパーサーカー状態になってるし」
カルロス一世も同じような困った顔をしてる。
もともと第一軍団は最強の勇猛系だし、こう言ったら何だが、血にでも酔ってるような暴れ方だ。
「操られているだけかもしれないのに」
「そうかもしれませんが、彼らは東部の兵で実は我々西部の兵とは昔からいがみ合いがありまして……」
グォクイ将軍がすまなさそうに言った。
「え? 地域的な対立ですか? 」
「ええ。 恐らく、西部の人間に弾圧するのも、東部の人間ならやれますので、それで彼らを呼んだのだと思われます」
うわぁ、聞いただけで、陰湿な。
「ち、ちょっと旦那様、私も参加して良いですか? 」
エレネと麗が嬉しそうに聞いてきた。
「ええと」
「燐女さんも暴れてるし、少々なら良いのでは? 」
アオイが笑顔で答えたので、二人とも乱戦の中に飛びこんでいく。
って?
燐女さんって見たら、強襲船を二隻出して兵士側の向こうの世界の砲兵隊かなんかをミンチにしてる。
容赦なさ過ぎて怖い。
「なんか、ドリフの最後を思い出すな」
親父が昭和丸出しの事を言った。
一杯人が死んでんだけど。