第三十七部 第五章 グォクイ将軍の訴え
「あの……すいません。いい加減にコンチュエの事を話しませんか? 」
グォクイ将軍が寂しそうに手をあげて言った。
「「「忘れてた」」」
全員が同時に呟いた。
酷い話である。
ってゆーか、コンチュエに行くと言ってから、ずーっと別の事やってるような気がする。
「確かに、うちの問題で皆さんに迷惑かけてるのは申し訳ないですが、ずっとここで待ってたのに、全然コンチュエの話にならないのは少し酷いと思います」
グォクイ将軍が少し悲しそうだ。
グォクイ将軍はずっと食堂で待ってたのか。
何と言う、申し訳ない話だ。
「むう。これは申し訳ない事をした。だが、我が息子がとうとうドラゴンのヒモとして、ドラゴン達を率いて戦えることになった。これでコンチュエを救うとしよう」
親父か厳かに言った。
ドラゴンのヒモを認めちゃうんだ。
しかも、親父自身がコンチュエとも昔小競り合いしてなかったっけ?
何と言う厚顔無恥。
「ご安心ください、私はドラゴンの長老格でして、すべてのドラゴンを旦那様の元に集めて見せましょう」
雪龍さんが凄い事言った。
「いやいや、<結末の時>ならともかく人間界の争いに全ドラゴンが介入するのは問題でしょうが」
ダグダ師匠が慌てて、雪龍さんを止めた。
「いや、介入するのではなく、すべてのドラゴンが旦那様の妻になれば良いのです」
雪龍さんの目がハートだ。
甲板にいるメスのドラゴネットが拍手している。
ダグダ師匠が振り返って俺を見た時の表情は多分、俺は一生忘れないだろう。
胃が痛くてしょうがない。
「兄弟。そろそろちゃんとやろう。流石に、グダグダしすぎだと思う」
きりりとした顔でアポリトが俺を見た。
むう。
アポリトさんが真面目だ。
「アポリトさんどうしたんだ? 」
ヨシアキ大佐が俺の代わりのように聞いてくれた。
「いや、兄弟がドンドンおかしな方向へ突っ走ってるんで、いろいろ考えたら怖くなってきて、この辺でまともにならないとまずくないかと」
アポリトが真剣に言った。
「どうゆう事じゃ? 」
樹老人さんが心配そうな顔をした。
「つまり、このまま全部のメスが兄弟のヒモモードで妻になったらどうするのかと」
「「「「「「はあ? 」」」」」」
全員が唖然とした顔をした。
「つまり、どういう事なんだね」
カザンザキスさんが不安そうだ。
「<結末の時>が男対女になるんじゃないかと」
アポリトが躊躇しながらも答えた。
「無い……とは言えんな。無茶苦茶だからな。甥は」
カルロス一世が頭を抱える。
「か、考え過ぎじゃないか? 」
クニヒト大佐も不安げな顔だが否定した。
「多分、多分だがな。ちゃんとオチがつくと思うんで、そう言う風にはならんのでは」
親父が笑って言った。
軽っ、しかも、どんなオチだよ。
「あ、あの、本当にコンチュエを救ってほしいんですけど」
グォクイ将軍が悲しそうな顔で必死だ。
皆、忘れてたって顔をしている。
どうしょうもないな。




