第三十七部 第二章 カザンザキスさん戻る
「すいません」
最初に寝室を出て、食堂に行ったらニコライさんがいたので頭を下げた。
「まあ、許嫁ですから良いんですけど」
「と言うか、遮断してたコンタクト取れちゃって」
「あらら」
「ヒモモードでもうどうにもならず……」
俺がもう一度頭を下げた。
「女の敵だよね」
クニヒト大佐が言った。
食堂から見えるイージス艦の甲板にドラゴネットが飛んできてる。
本当に来たんだ。
どんどん泥沼にはまっていく。
ヒーローは何処へ行ったんだろう。
ドラゴネットのメスと共に何故かオスもやって来て、こっちをじっと見てる。
何、この昔の昼のメロドラマみたいなノリ。
「やばい。どんどん自分の目指してるヒーローと違う」
俺が悔しそうな顔をした。
「諦めたら? 」
クニヒト大佐がホークでウィンナーを突いて食いながら言った。
「諦めきれないだろ! 」
俺が叫んだ。
「まあ、あれだぞ。世の中の大多数の人は自分が思うのとは違う人生を必死に生きてるんだぞ」
親父がうんうんと頷きながら言った。
「いや、これはそう言うのと違うから」
「兄弟は流されすぎなのがいけないのではないか? 」
アポリトが真面目な顔して言った。
「むう。それは親父に似てるからかもしれん」
俺が親父を見て答えた。
「それは否定できんな。人生と言う激流を制するのは静水。流されることによって逆に死中に活を求めるのだ」
親父が胸を張った。
「「「おおおお」」」
ニコライさんとかが感心してる。
「いや、それ北斗の拳のト〇の名セリフのパクリだから」
俺が突っ込んだが、weeabooの中のweeabooのルイス中尉は目をキラキラしている。
「まあ、そう言うな。ト〇はカッコいいからな」
親父が良い笑顔だ。
「とりあえず、ドラゴネットのメスさんが並んでるから、握手だけでもして来たら」
クニヒト大佐が言った。
いや、ますます深みに嵌るだろと思いつつ、こないだ身代わりになってくれたドラゴネットのメスさんが先頭なんで逆らえずに握手しに言った。
握手だけでドラゴネットさんがいくので、涙ちょちょ切れそう。
そりゃ、ヒモモードの効果もあるのだろうけど、興奮しすぎです。
向こうで、ギリリと歯軋りするドラゴネットのオス達の目が辛い。
そして、一部の興奮してるドラゴネットのオスが良くわからん。
何と言うワンダーな世界。
「何が一体あったんですか? 」
ワイバーンに乗ったカザンザキスさんとダグダ師匠と樹老人が降りてきた。
ダグダ師匠と樹老人もやはりパトリダに行ってたようだ。
樹老人の異様なものを見た衝撃だろうか、冷たい目が痛い。
現実とは厳しいです。




