第三十六部 第九章 ファレグ
「「「え? 」」」
黄金の羽根を持つ天使と俺達全員が唖然とした。
アオイの前に立ちはだかった俺の前にドラゴネットのメス達が立ちはだかって、その金色の槍を身代わりで受けた。
嘘だろ。
何で俺の為に。
流石のドラゴネットでも、瀕死の状況だ。
瀕死のドラゴネットがキューと鳴いて俺の手を握った。
「嘘だろ。どうして? 」
異種族何で良く分からないが、優しく微笑んだ気がした。
「貴方はこんなかよわい乙女を攻撃して恥ずかしくないのですか? 」
シャーロットがその姿を見て激昂した。
「何が上位天使なの? このかよわい乙女の行動をどう思ってるの? 」
ミツキも激昂してる。
「え? 乙女? 」
黄金の羽根を持つ天使が動揺して唖然としてる。
「待っていろ。治してやる」
俺が全力でこないだやったように傷の治療を始めた。
「私も手伝うわ」
ミオやキョウカさんも手伝ってくれた。
「貴様、このかよわい乙女が身を挺して庇った事をどう思ってるんだ! 」
俺が激昂して黄金の羽根を持つ天使を睨んだ。
「は? 」
黄金の羽根を持つ天使が動揺してる。
「ファレグ。貴方はこの乙女の穢れない行動を見て恥ずかしいと思わないのですか! 」
アオイが怒髪天を突くようにキレた。
黄金の羽根を持つ天使はファレグと言うのか。
「い、いや、これは戦いだし。そもそも、ドラゴンは別に……」
ファレグが答えた。
「貴様だけは許さん! この可愛い乙女達の心も知らず! 卑怯者が! 」
俺がごうごうと燃えた。
その炎が、すべて光に変わっていく。
「何だと? 記憶は取り戻してないはずだが? 」
ファレグが動揺してる。
俺を中心にアオイ並みの光の柱が立った。
「やりました。 ヒモモードactⅢ獲得です」
突然、肩の上に精霊が乗った。
「お前、出て来れないんじゃ」
「actⅢを獲得しましたので、私はサポーターとしてあらゆるものから保護されるようになりました」
「逃げ回ってたくせに」
俺が皮肉っぽい顔で見た。
「何言ってんですか。今です。貴方の許嫁達に力を回すんです」
「は? え? 」
「皆に自分の力を使ってくれって思うんですよ! 」
精霊が叫んだので、俺も言われた通りに集中した。
あふれるような力が許嫁達やドラゴン達に流れ込んでいく感じがする。
「おおぉぉぉぉぉおおぉおおぉぉおぉぉぉぉ! 」
俺が叫びながらさらにその力を皆に回す。
「意味の分からんことを! 」
ファレグが槍を構えなおした。
と同時に信じがたいスピードでドラゴネットのメス達が次々とファレグに打撃を加えて行く。
信じがたい事に上位天使であるファレグがたかがドラゴネットの攻撃でダメージが与えられているようだ。
「ば、馬鹿な。たかが、ドラゴネットごときに」
その隙にエレネの膝蹴りがファレグの顎に決まる。
シャーロットのハイキックも後背から延髄に同時だ。
ファレグの端正な鼻が潰れて血らしきものが飛び散る。
それと同時にムラサキの腰の刀でファレグの槍が叩き落とされた。
「ば、馬鹿な! 例え、こいつらが神族だとしても、私は上位天使! 貴様らごときになぜだ! 」
ファレグが絶叫した。
彼にとっても信じがたい事が起こってるようだ。




