第三十六部 第七章 対地ミサイル
「つまり、ヒモモードってのを獲得しちゃったと」
アナスタシアの笑いが止まらない。
流石の許嫁達も毒気が抜かれてしまったようだ。
「いやいや、本当にありえない方向に進化してんだね」
アナスタシアがおかしそうに言った。
あまりに、アナスタシアがお腹を抱えて笑うんで、許嫁達も同じように笑った。
「次は、ちゃんとヒーローっぽい奴を獲得しようと思っております」
いたたまれなくて俺が答えた。
せつない。
「いいよいいよ、そのまんまで。何だか面白いし」
アナスタシアが俺の肩をバンバン叩いた。
「だよね」
麗がそれに同調した。
「まあ、打ち解けたみたいで良かった。一つ聞きたい事があるんだが、上位天使の話は何か聞いていないか? 」
何が良かったのか分かんないけど、親父が強引に聞いた。
「上位天使? 何それ? 」
アナスタシアが首を傾げる。
やはり、知らないのか。
誰の手引きで現われたんだろう。
「こちらも動いてるから、それは動くでしょうね」
黒い髪の美少女……ゼブが頷くように答えた。
「どう言う事? 」
アオイの顔つきが変わる。
「闇の上位者も全部動き出してますよ。私が動いてるくらいだから」
ゼブが笑って言った。
「え? 」
カガの驚き様がハンパ無い。
「どうにも、読めなくなって来たな。何だこりゃ。じゃあ、武器をコンチュエに売ったのは誰なんだ? 」
親父が首を振る。
「まあ、婚約者の件もあるけど、それを調べる関係で、ここに居たのだけどね」
アナスタシアが俺を見て答えた。
「え? バチカン系じゃないの? 」
親父が驚いたように言った。
「ええ。内部に造反してる者がいるみたいだけど、少なくともバチカンとかは傍観してます」
アナスタシアが答えた。
「どの程度の武器が売られたの? 」
エレナが聞いた。
「それが、流れたんじゃなく兵員事洗脳されて奪われたみたい。アメリカ合衆国とかでは大騒ぎになってるよ」
「 ? まさか、空母もか? 」
親父が焦ったように聞いた。
アナスタシアが頷いた。
「何か来る」
俺が空を見て言った。
「みさいるとか言う奴ですね」
ゼブが笑った。
「いや、笑い事じゃないと思うが」
親父が慌てた。
ゼブが全身を震わすと、黒い粒子のようなものがゼブの身体から竜巻のように出た。
それが、凄まじいスピードで拡がって、島より大きく拡がる。
それと同時に黒い粒子にミサイルが当り次々と爆発していく。
「戦闘機って奴から撃たれたようですね」
アオイが言った。
「雪龍。貴方の力で排除しなさい」
ゼブが言った。
「分かりました。旦那様、私の愛を見ていてください」
白いドラゴン……雪龍が俺を愛のこもった目で見た。
やばすぎる。
許嫁達の目が冷たい。
俺にどうしろと。




