第五部 第一章 プロローグ
あれから、しばらくして、俺のやっている事業も順調だ。
とりあえず、スーパーに関してはヤマトも興味を持ってて、是非こちらにも出店してくれないかと国王からも頼まれた。
こちらの目玉の商品リストを見せたら、ヤマトが製法を極秘にしてプレミアムつけてた国家産品であるマヨネーズとか味噌とか醤油とかが、こちらが勝手に作って安く売る商品に入ってるの見て、すんごい顔してたが。
それと、スーパーのアメリカ式の安売りしまくって近隣の小売店を全部潰して、その後値段をあげて儲けるやり方は、ミヤビ王女に、ここまでやるとまたボッチになるんじゃない? と言われて、ビビッて方向転換した。
まあミヤビ王女本人が意図したわけではないが、俺を避けたせいで、俺が汚い毛布で寝たり、残飯食ったり酷い扱いにされた経緯はあったけど、全部を知って謝ってきたし、こういう貴重な意見を言う人は俺には必要かもしれん。
でも、婚約したままだけど、ミヤビ王女はヤマトの方に帰って貰った。
あの国王が俺の義理の親父になるの嫌だから。
叔父なだけでお腹いっぱいです。
だって、にんげんだもの みつを
とりあえず、それらのもコミコミで出店の話がしたいと言う事で、久しぶりにヤマトへ行くことになった。
何と言うか、行くと約束してから、コゴロウと言う名前で行くはずなのに、向うが送ってきた入国の許可証がスメラギ ユウキ名になってたり、すでに脂汗が出ている。
「どうしょうか? なんか嫌な予感しない? 」
俺がカザンザキスさんと、ヤマトに一緒に行く予定の義兄弟のアポリトとミツキとアオイとムラサキに聞いた。
ちなみに、今回は義兄弟のリヴァイアはこちらに残すことにした。
何かあれば、俺とつながってるので、カサンザキスさん達を守って貰うつもりだ。
勿論、シーサーペントも同じようにこちらに大半を残す。
まあ、商売の話だし。
でも、なんか嫌な予感がする。
「何するか分かんないからな」
カザンザキスさんもすっかりヤマトに不信感持ってるので、そう言った。
「ひょっとしたら、あれかな。無理矢理、ヤマトの王族に戻すつもりかな」
「それくさいですね。いきなり、イベントとかなんかに巻き込んだりして」
アオイが苦笑いした。
「まあ、なんかやるよね」
ミツキも同意見らしい。
「スーパーの契約があるから逃げ切れないと見てんのかな」
「どうする。一応、コゴロウ名義でこちらの人間としての向こうへの入国許可証もあるが」
カザンザキスさんが聞いてきた。
「兄弟。そこまでするなら、別の国をワンクッション入れて入った方が良いんじゃないか」
「だよな。絶対怪しい」
「女装します? で、カザンザキスさんに女性名で入国許可証を作ってもらうとか」
ムラサキが提案して来た。
え?
そこまでやる?
「それなら完璧かもしんないですよね」
アオイが頷いた。
「逆に、逆にだよ。それをあの国王と宰相が見つけたら、ネタにしない? 」
俺が慌てて答えた。
逆にやばいような気がする。
「「「ああ、そうか」」」
皆が納得した。
「とりあえず、他の国をワンクッション入れて、別名で入ろうか。一応、このスメラキ ユウキの入国許可証は隠して持って行こう。ヤマトの王宮で見せればいいだろう」
俺がそう言ったら、皆が頷いた。
「とりあえず、コンチュエのリュイジンから行こう。ちよっと髪型なんかの感じも変えて行こうか」
「でも、それを予想してたら嫌ですよね」
ムラサキが不安気だ。
あり得る。
あり得るだけにどうしょうもないな。
「どうだろう。向こうも予想しそうなコンチュエから行くより、私の妹がテーラという国の国王の第二王妃になっている。そこを通して、そこの国からの入国許可証で行ったらどうかな」
カザンザキスさんが提案した。
「コンチュエに戻るよりはテーラの首都グアルダの方がヤマトに近いしな。国王のサンシュ一世は私と懇意だし、詳しい話は連絡しておこう」
国王の紹介で入国許可証を貰えるなら、ヤマトでも変な事は起きないだろう。
「ありがとうございます。そうします」
俺はカザンザキスさんの話を受け入れる事にした。
しかし、母国に帰るのに、なんで、こんな苦労するんだか。
良い事が無かった国だし、ひょっとしたら、このまま関係を切った方が良いのかな。
悩むところである。