第三十六部 第一章 プロローグ
気絶して動かなくなった黒髪の美少女を見ながら思う。
この子が耐性無いのか、ヒモモードのレベルが上がったのか、どっちだろう。
とりあえず、今のうちにと洞窟を外に出た。
外に出ると薄暗い中で、島に居るのが分かる。
「こ、ここは……どこだろう」
辺りを見回すが、本当に荒涼とした島だ。
辺りに人家の気配も無い。
何で、こんなとこに来たんだろうか。
ついでに言うと、記憶が混乱して訳が分かんない。
何だこれ。
腰に差してた轟天も無いし。
ちょっと、これで戦うのヤバイな。
「おや、お起きになられたようですね」
横から声をかけられた。
真っ白い色の美しいドラゴンがいた。
ドレイクとか言う種類だろうか。
それにしても雪のように白い。
「主人はずっと貴方の事を探していたのです。その気持ちにどうか答えてあげてください」
白いドラゴンに大人の女性のような声で言われたが、こっちは誰だかわからない。
「ひ、人違いじゃないんですかね? 」
「いえ、ずっと昔から貴方の事を見ていましたから」
白いドラゴンがふっと笑う。
つまり、ストーカー。
何だろう、心臓がバクバクします。
この手が最近多いいな。
「ひょっとして、前世からみですか」
俺が聞いた。
「そのとおりです」
後ろの洞窟の入り口にいつの間にかあの黒髪の美少女が立っていた。
やっぱり、前世からみか。
「正直、私には何の覚えも無いんですけど」
俺がドラゴンと黒い髪の女性を見て答えた。
「徐々に思い出されると思っております」
黒い髪の美少女が答えた。
思い出すって言われても、前世何て知らんのだけど。
正直、訳の分かんない話ばかりだ。
そしたら、俺の心を読んだのか、、黒い髪の少女が悲しそうな顔をした。
「あ、いや、そういう訳でなく」
俺がオロオロして答えた。
そうしたら、決意表明のように静かにじっと俺を見た。
「絶対に、絶対に思い出して貰います。私はいつまでも待ちます」
その姿が凄くいじらしくて、応援してあげたい気持ちになるような顔だった。
だから、ふっと笑って答えた。
「分かった。楽しみにしておくよ」
優しく微笑んだのが悪かったらしい。
すんげぇ光った。
辺りが真昼のようだ。
「ふにゅううぅぅ」
また、黒髪の美少女が気絶した。
それで終わりなら良かったのだが、白いドラゴンが鼻血を噴水のように出した。
そして、俺にお尻を向けた。
俺にどうしろと。
「お使いください」
さっきまでの大人の女性のような白いドラゴンの雰囲気台無しになった。
何をどう使えと言うのだ。
震えが止まらない。
やっぱり、この力を無くなさないと。




