第三十五部 第九章 チアンウェイ
「それにしても、凄いものを従えておられる」
グォクイ将軍が使徒ガムビエルを見た。
「ああ、突然、二重人格のもう一人の方の俺から受け継いだんだですが」
「え? もう一人の俺? 」
グォクイ将軍が後退りする。
「いや、チアンウェイさんの性格が変わった後に二重人格ネタはやばいでしょ」
ヨシアキ大佐がひそひそと囁いた。
「でも、俺、ヒーローっぽいのこれしかないし」
「ヒモがあるじゃない」
クニヒト大佐が良い笑顔だ。
「ヒモ? 」
グォクイ将軍の顔が歪む。
やばいな、どんどんヒーローから遠ざかってるよ。
「いや、王太子が新しい能力を獲得しまして」
ヨシアキ大佐が慌てたように言った。
「ヒモって、ロープで無しに? 」
「「「「「「「「「「「女の子を誑し込む方です」」」」」」」」」」」」」
周りにいた許嫁が一斉に言った。
何と言うサラウンド。
グォクイ将軍が許嫁の顔を見て怖くて目を白黒させている。
むう、流石にイメージ悪い。
「と、とりあえず、こちらもいろいろあったんですよ」
慌てて取り繕うしか無くなった。
もう、せつない。
「待ってください。また許嫁さんも増えてるようだし、チアンウェイさんをヒモの力で改心させると言うのはどうでしょう」
グォクイ将軍が俺に提案した。
前からそう言えばくっつけたがってたな。
許嫁の反応が怖くて後ろが見えない。
「まあ、チアンウェイさんならなじみだしね」
ミツキが言った。
「気は強いし、ハッキリ言うし、あれはまあ良い許嫁になるやしれん」
龍女さんも肯定的だ。
「ああいうはっきり言う人って良いよね」
ミヤビ王女も笑った。
「皆さんが良いなら、私は別に良いです」
アオイが締めた。
待ってください。
俺は困るんですけど。
グォクイ将軍が嬉しそうだ。
何でこうなる。
「諦めろ。お前はそう言う星の元に産まれているんだ」
カルロス一世が嬉しそうに囁いた。
「おめでとう」
クニヒト大佐が拍手しながら言った。
「それ、いらねーから! 」
「ヤマトの伝統のお祝いだぞ」
クニヒト大佐が凄い笑顔だ。
「おめでとう」
ルイス中尉が拍手した。
何か気がついたみたいだ。
weeabooの中のweeabooだけはある。
「おめでとう」
親父までエヴ〇の真似に混ざる。
くくっ、何でやねん。
「……それはさせない」
誰かが風音のように囁いた。
全員が、ぞくりとする冷たいものを感じた。




