第三十五部 第八章 グォクイ将軍
グォクイ将軍に誤魔化しで微笑んだのは良く無かったかも。
船縁の辺りから、魚らしい水音がする。
嘘だろ、この程度でヒモモードで影響あんのかよ。
縄梯子の鉤爪がかかって、グォクイ将軍が登ってきた。
「王太子殿、久しぶりです」
グォクイ将軍が嬉しそうに言った。
「こちらこそ」
俺がグォクイ将軍の差し出した手を握った。
「おいおい、こちらは攻撃されてる側だから、久しぶりの仲間みたいな挨拶はどうよ」
カルロス一世が不満気に言った。
「そ、それは、我々としても何とかしたいと思っておりまして……」
「やはり、チアンウェイさんですか」
俺がズバリと聞いた。
「恥ずかしながら、あちらの世界の女性がチアンウェイ様が街を警戒中にお話しされてから、チアンウェイ様の性格が、まるで別人のようになりまして」
「安易に外の世界の人間とかと会せるから、そうなるんじゃないのか」
カルロス一世が冷たい。
「いや、陛下もご存知の通り、うちのチアンウェイ様はテレポートですぐに最前線にも行かれる方ですので、それを利用されたと言えばそれまでなのですが」
グォクイ将軍が申し訳なさそうに言った。
「叔父さん、それはテレポートであるものを見られたからですか」
俺が声を潜めて言った。
「くっ、獣のような所を見られたお前に言われたくない」
「獣のような所と言われましても、襲われてるのでございますが」
「俺も変わらんだろうが」
俺とカルロス一世が睨み合う。
「結構、仲が良いよな」
親父が笑いながら言った。
「意外と性格が兄弟と似てるせいかもな」
「「似てません」」
アポリトに凄い事言われたんで、俺とカルロス一世が同時に叫んだ。
「ああ、ちょっと聞きたいんだが」
親父が声をかけると、グォクイ将軍が首を傾げた。
「あの、どなた様で? 」
「ああ、この王太子の親父です」
親父が笑って答えた。
「はあああ? 確か敵だと聞きましたが」
グォクイ将軍が腰の剣に手をかけた。
「ああ、大丈夫です。母さんが怖くて逃げたしたんで」
「は? 」
「あちこちでお兄ちゃんに変な許嫁を作りまくってたのがばれて母さんを怒らせたの」
ミツキも横で言った。
「はあ? 女媧様ですよね」
「ええ、母さんは怒ると無茶苦茶怖いんですよ」
「まあ、ヤマトの伝統ですね」
親父が良い笑顔で笑った。
「なるほど」
それで納得されるのも少しおかしいんじゃないかと思うが、グォクイ将軍が深く頷いた。
「で、ですな。上位天使とか言う羽の生えた金色に輝く人とか、そちらに居るんですか? 」
「いえ? 天使? 羽の生えた? そんなの見た事ありませんが……」
グォクイ将軍が首を傾げた。
「羽で空飛んで、凄い力を持ってる連中なんですが」
俺が必死になって聞くがグォクイ将軍は首を傾げたままだ。
「まいったな。別口か。そうするとややこしくなるな」
親父が顔を歪ませた。