第三十五部 第七章 交渉
コンチュエの第一艦隊から小舟が近づいてくる。
第一艦隊のヂオンフォ将軍かと思えば、近衛のグォクイ将軍だ。
「あれ? 罠かね? 」
俺がそれを見て呟いた。
「何でですか? 」
ヨシアキ大佐が聞いてきた。
「いや、普通は第一艦隊のトップが来るだろ。近衛の将軍で安心させて一緒に沈めるとかだったりして」
「いやいや、そんな、国の重鎮の近衛のトップを使い捨てとかしないだろ」
カルロス一世が驚いた顔をした。
「こないだヤマトでやりあった時に、国王や宰相ごと、娘のレイナさんやアオイさんが攻撃してたから」
俺が真顔で答える。
「そんなのヤマトだけだろ! 」
カルロス一世が叫んだ。
「「「「あれは敵を欺くためですから」」」」
レイナさんやアオイやミオなどが一斉に笑顔で笑った。
怖いわ。
「だよねー」
カルロス一世がびびった顔で笑った。
横でアリリオさんが悲しい顔をしている。
「とりあえず、受け入れても大丈夫なんかな」
「爆薬とかは詰んでないみたいだな」
アポリトが言った。
こういう時にアポリトの索敵は助かる。
親父も期待して、ちゃっかりといろいろな近代兵器の爆薬とかスタンダードなものはアポリトに写真で見せてたそうで、とりあえず俺の元居た世界の兵器にもある程度索敵が出来るようになってる。
ヤマトで猛禽とか修羅が怖くて動けない時がある部分を除けば、兄弟は大戦力なのだ。
「ヤマトの王太子殿? 」
グォクイ将軍が甲板にいる俺を見て手を振った。
王太子だと?
何で、そんな話が拡がってんだ?
「ああ、お前、凄い顔してるけど、殆どの国家にはお前が王太子として連絡行ってるぞ」
カルロス一世が苦笑してる。
「何で? また国王か? 」
「あ、私です」
レイナさんが笑顔で手を振った。
「は? 」
「大切な話なんで、全王家にお知らせしてあります」
レイナさんが頬を染めて照れくさそうに笑った。
これを拒否する勇気はありません。
「そうですか」
微笑んで俺が答えた。
また、光ったらしい。
許嫁の目がトロトロになってる。
「ちょっと、そっちの方はまずは目先の事とかいろいろかたずけてからにしましょう」
俺が必死になって言った。
また、寝室へになったらどうにもならない。
許嫁達がちょっとしゅんとしてるが仕方ない。
最初から、こうすれば良かったのか。
「まあ、最近、ちょっと爛れ過ぎだったからね」
ミツキが照れくさそうに笑った。
実感してたのかよ。
早く言えば良かった。
「とりあえず、彼らをこちらの船でお迎えしましょう」
メイスン中尉が言った。
「海の中も大丈夫なんだよな」
親父が用心深げにメイスン中尉とアポリトに聞いた。
メイスン中尉とアポリトが頷いた。
一応、原潜は海中にあるし、さらにアポリトの索敵で見てるから、とりあえず罠では無いと言う事か。
とりあえず、笑顔のグォクイ将軍見て、ちょっとえぐい事しようとしてたんで申し訳なくて、誤魔化すために良い笑顔でほほ笑んだ。