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全部社会が悪いんやっ! 〜ある救世主として召喚された男の話   作者: 平 一悟
人物紹介は470から475のあたりにあります。
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第一部 第四章 作戦会議

 

 作戦会議は紛糾した。


 国王と宰相、ヤマトを東西南北と中央に軍区を分けて、東方を守る東方将軍であり階級は中将のミヤタ公爵、西方を守る西方将軍であり階級は中将のクロダ公爵、北方を守る北方将軍であり階級は中将であるスギモト公爵、南方を守る南方将軍であり階級は中将のミタライ公爵、中央を守る中央大将軍であり階級は大将のイジュウイン大公と近衛将軍であり階級は中将のサイトウ公爵が列席する中、場違いのように俺と俺付きになった近衛のアサダ クニヒトはアサダ男爵家の跡継ぎで階級は中尉である--クニヒト中尉と国王の娘のスメラギ ミヤビ--ミヤビ王女が座っている。


 軍内でも貴族としてのプライドがあり、爵位を持つものは爵位で呼ばれ、まだ爵位を持っていないものは階級で呼ばれているようだ。


 クニヒト中尉はおれと同い年だし、ミヤビ王女は十六歳だそうだ。

 

 クニヒト中尉もなかなかの美男子だし、ミヤビ王女にいたっては髪をツインテールにして、少し胸は残念だが、かなりの美少女だ。

 

 基本的にヤマトは日本と同じで黒髪で黒い目をした日本人に似た容姿をしているが、基本的には美男美女ばかりだ。


 ただ、ミヤビ王女は母親が外国の貴族と言う事で、目は綺麗な深い青色をしている。


 国王の八番目の娘で秘蔵っ子と呼ばれてるらしい。


 今回は国王の特別命令で俺の補佐役として参加する事になったのだ。


 それにしても、五大将軍と近衛の将軍は四十歳前後の年齢のはずなのだが、やはり見た目は全員六十歳近い。


 やはり一夫多妻のせいだろうか?


 老化が激しい。


 男としてはせつない。


 目の前では延々と何故俺を中核にして戦争をするのかと、将軍である公爵同士で、ずっと揉めている。


 当たり前だろう。

 

 いくら救世の神器 轟天(ごうてん)を手にしたと言えども実戦経験の無い俺が戦争できるわけがない。


「勇者に聖樹様が選んだとはいえ、陛下はこの実戦経験も無い、この世界に戻って来たばかりの若造を中核にして戦争をすると言うのですか」


 俺の目の前のスギモト公爵が我慢できなくなったのか、立ち上がって糾弾した。


 おっしゃる通りだ。


 だって、俺、素人だし。


「だがな、これは聖樹様の御意志なのだ。轟天(ごうてん)を手にしたと言う事はそういうことなのだろう」


 国王が困惑しながらも反論した。


「お前自身はどう思うのだ。先ほどから黙っているが」


 スギモト公爵が俺を睨み付けた。


「私も人を殺した事が無いので、スギモト公爵のおっしゃる通りだと思います」


 あっさり、俺がこの作戦に参加は無茶だと返事した。素人の俺が最前線なんか絶対無理だ。


「ムラサキから聞いたが、かなりの武術の力量だそうだが」


 国王が俺の目を覗き込む様に見た。


「いや、あくまで、人を殺さないスポーツの範囲ですよ。何度も言いますが、人なんて殺したことないから戦場でゲロ吐くか、震えて動けなくなるかもしれませんね」


「あのな、右手の甲に聖樹様の赤い宝石のような紋章があるだろう。それがあれば罪悪感とかは感じずに戦えるはずだぞ」


 宰相が驚くような話をした。


 なんですと!


 とんでもない話をさらっと言われた。


「紋章を手にしたものは聖樹様が戦うために選んだ人間なの。だから、聖樹様の加護として罪悪感とかそういう戦いに邪魔なものは聖樹様が気にならないようにしてくださるのよ。そうしないと戦いに勝てないでしょうしね」


 横にいたミヤビ王女が説明してくれた。


「そうなのか? 」


 俺が驚いたように聞き返すと、ミヤビ王女が頷いた。


 「こんなのはこの国に産まれたものなら、皆知ってるわ。まあ、貴方はあちらで産まれたから仕方ないけど」

 

 でも、これも相当ヤバイ話だな。


 聖樹に操られてると言う事じゃないか。


「まあ、何考えてるか分かるけど、別に心を完全に支配されるわけではないから。聖樹様の為に戦うのだから、心の辛い部分は聖樹様が引き受けてくれるって事よ。まあ、若干精神に影響か出て性格が明るくなったり暗くなったりはするかもしれないけど、たいしたことじゃないわ。それよりも問題は貴方が授かった神器が特別で凄く物騒なものだから、それはちゃんと考えないと」


「物騒なんだ」


「一応、王家でも王国史上最強の武器だしね」


「そんなの俺に言われても」


「とにかく、轟天(ごうてん)の使用はこちらの判断に従って貰わないと困りますね。危険ですし。それと、一回使用した後は再使用まで時間がかかるから、その間、彼らをどうするかという問題もありますな」


 イジュウイン大公が顎を撫でながら、国王に進言した。


「では、戦争が始ったら、轟天(ごうてん)を初手で敵に撃ち込む事だけをさせましょう。その後は彼らをすぐに撤退させて、彼らの身の安全を守ると言う事で。我々は轟天(ごうてん)を撃ち込んだ場所に一気に兵を突撃させて、まずは敵の戦意を挫くといたしましょう。とにかく、彼らは轟天(ごうてん)を撃つだけに特化させる。これなら彼らも安全ですし」


 クロダ公爵が皆を見回した。


 国王が頷きながら、立ち上がった。


「よし、ではクロダ公爵の軍を第一陣として、イジュウイン大公を第二陣、サイトウ公爵を第三陣として迎え撃つ事にしよう」


「わかりました」


「頼むぞ、クロダ公爵。西方将軍なのだから地元だし、地形などは把握してるだろうしな。北方のエーデルハルトに対しては北方将軍であるスギモト公爵と東方将軍であるミヤタ公爵に当たらせる。とりあえず、エーデルハイトに対しては時間稼ぎで持久戦を。そして、クロダ公爵と中央を守るイジュウイン大公と近衛のサイトウ公爵とでアレクシアをまず撃退する」

 

 「「「「「はっ」」」」」

 

 全将軍が頷く中、クロダ公爵が意味ありげに笑ったのが少し気になった。


 だが、これで俺の初陣も決まったようだ。


 とりあえず、言われたようにするしか無いな。


 素人だし、それしか出来ないし。


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