第三十四部 第九章 戦闘
「余程、褒められてうれしかったのだな」
親父がほほ笑んで言った。
「むう、違うような気もするけど、親父にそう言われるとそうなのかと思ってしまうな」
てへっと言う感じで俺が答えた。
ぱきぱきぱきと空間がひび割れる音が凄くなってきた。
「きききききききききききききさささささささささささままままままままままららららぁぁあああ! 」
フルが絶叫を上げる。
「はははは、まあ美人と言われて喜ばない女性は居ないからな」
親父が笑ってきっぱりと言った。
「なるほど」
俺が頷いた。
「意外と年を取るとそう言う事言ってくれる人がいなくなるからな。母さんもそれで落としたようなもんだし」
「なんだ、親父、のろけ話だったのか? 」
俺が笑った。
「まあな」
親父が凄く照れくさそうだ。
「「「「「死ね! 」」」」
エコーでもかかったようにフルが叫ぶと、空間がコナゴナに砕ける音がした。
それと同時にガムビエルが凄まじいスピードで足の一つを食堂にぶち込んで来て、それがフルに直撃した。
こないだのオクとか言う男の天使と違って力が劣るのかよけきれず、攻撃を受けながらもイージス艦の外へフルがはじき出される。
結構、ギリギリの攻撃なんで、すでに泡吹いて倒れてるクニヒト大佐とかカルロス一世とかは良いけど、俺と親父は済んでの所で、ガムビエルの凄まじいスピードの足先を避けた。
「きさまぁぁぁぁあ! 閉鎖空間を砕くために、私を煽ってたのかぁぁぁぁ! 」
イージス艦の外をガムビエルの光輪を避けながら、フルが叫んだ。
「そんな訳ないでしょう。邪推が酷いな」
俺が困ったように答えた。
「まあまあ、長い間生きてらっしゃるんだ。更年期障害と言う奴だよ。言ってやるな」
親父がポンと俺の肩を笑顔で叩いた。
「貴様っ! 貴様らっ! 転生してまで私を馬鹿にするか! 」
フルが絶叫した。
それを見て親父と俺が顔を見合わせた。
「「まあまあ、美人なんだから」」
親父と俺が笑顔でフルに言った。
「ふんがぁぁぁあああぁぁぁぁぁ! 」
フルが血の涙を流す。
「あ? 」
俺がアオイのいる寝室の方を向いた。
間違いない、アオイが起きた。
フルも気がついたようだ。
フルの顔がキレた顔から怯えた顔になる。
「く、くそっ! 」
とは言え、俺がどうしても許せないらしく、ガムビエルの凄まじい光輪を避けながら、俺の方にレイピアのような光の剣を抜いて迫る。
「我が同胞! そして我の復讐の為にも貴様はここで殺す! 」
凄まじいスピードでフルがこちらに迫る。
その時、俺を遮るように、何か真っ暗い闇のような黒い羽根を拡げたものが遮る。
凄まじい凄まじい力だ。
今までに感じた事の無いような力だが、それが懐かしい。
なぜか凄く懐かしい。
「くそぅ、闇まで! 闇まで奴を守るか! 」
フルが絶望したと同時に俺の前にアオイが現われた。
テレポートだ。
使えたのか。
アオイが現われた途端、フルが目の前に現れた次元の板の隙間に滑り込む様に消えた。
そして、辺りに再度闇が拡がった。