第三十三部 第六章 結論
ミツキがその天使のような男の撤退を見届けた後、天空から金色に輝いた羽根で降りてきた。
そして、俺の前に降りると、優雅に片膝をついて一礼してから気絶した。
「……嘘だろ」
皆が息を止めてシーンとする中で俺が真っ青になって震えながら呟いた。
アオイが誰も無言で動けない状態の中で、すっと俺の前に来ると笑顔で俺を見た。
「ごめんなさい。驚かせましたか」
アオイが笑顔だけど少し悲しい顔をしてる。
俺がその場にがくりと跪いた。
「……嘘だろ」
俺が再度呟く。
皆が本当に黙って誰も動かない。
「お、俺の力はヒモだよ? 」
今までに無いくらい俺が動揺してる。
親父とかアポリトとか皆が素で「は? 」って顔してる。
「何で、俺がヒモなのに、アオイやミツキの力はこんなに凄いの? 」
俺の頬についと涙が流れる。
「話がおかしいよ! これのどこが<終末の子>なの? これじゃあヒーローとは言えない! 」
俺の絶望した慟哭が続く。
アポリトとか樹老人の顔がみるみる呆れた顔になった。
「他の力だって、下痢、ゲロ、トラウマ、逃げるだけだよ? ヒーローの力とは言えないよ! 」
俺が皆を衝撃を受けた顔で見回す。
アオイが俺を優しくなでた。
「ふぅ、やれやれ、やっと分かったか。その通りじゃ。これではとても<終末の子>と言えん」
樹老人がため息をついて、俺の前に来た。
「本当だよ! このままじゃ、完全にギャグキャラじゃないか! 」
俺が床を手で殴った。
「まあ、今気が付いてよかった。お前はこれからいくらでも強くなれる。じゃから……」
樹老人が優しく俺に話しかけるのをアオイが制するように、俺の前に出た。
「ヒモで良いんです。旦那様」
アオイの笑顔が凄い優しい。
「は? 」
樹老人の困惑がハンパ無い。
「良いじゃないですか。妻が皆、旦那様に愛されて喜ぶ。それ以外に何がありますか」
アオイが笑顔で許嫁達を見回した。
「そ、そのとおりです」
キョウカさんもほほ笑んだ。
「われもそう思うぞ」
龍女さんも笑顔だ。
「私もそう思うわ」
ミヤビ王女まで笑った。
横で深雪やさくらやミオやレイナが頷いてる。
「旦那様はゆっくりしてればいい」
麗がほほ笑んだ。
「私達が支えますから」
シャーロットが元気づける感じで笑った。
「それで良いと思う」
エレネも笑顔だ。
「え? 」
樹老人が凄い顔してる。
「ヒモでいいの? ヒーローだけどヒモでいいの? 」
俺が許嫁の皆に聞いた。
「はい、ヒモでいいんです」
アオイが笑顔で答えると許嫁の皆が頷いた。
「「「「「えええええええ? 」」」」」
親父以外の皆がドン引きした。
「それが本当だと言う事を私達が教えて差し上げます」
レイナさんが俺を笑顔で御姫様抱っこした。
「ああああ」
呆然とする樹老人をほったらかしにして、許嫁の皆に運ばれて、俺が俺の寝室へ向かった。
幸い、俺の寝室は破壊された艦橋の後ろ側で壊れてなかった。
遠目に、親父を除く皆が凄い顔で呆然としてるのが見えた。
なんか、せつない。