第三十三部 第七章 コントロール
今こそ、自分の力をコントロールしてやる。
「な、何をする気なんですか? まさか、自分の力だけでコントロールする気なんですか? 断言しますが無理ですよ」
精霊の入ったクニヒト大佐が後ろで必死で俺を止めようとしてる。
「だって、お前等、俺を適当に利用して好きにするつもりだろ。なら、例え、世界が無茶苦茶になっても、自分一人でコントロールするわ」
俺が断言した。
「おっ、ようやっと主人公っぽくなったじゃねーか」
親父が後ろから笑いかける。
「ちょっと、ちょっと、無茶苦茶になったら、私が粛清されるじゃないですか。貴方は粛清されなくても私はやばいんですよ」
精霊の入ったクニヒト大佐がますますオロオロとした。
「まあ、落ち着け。良く考えてからするべきだ」
樹老人も俺を制するように前に回り込んだ。
「私もそう思いますよ」
ダグダ師匠とカザンザキスさんも頷いた。
「でも、急がないといけない。ガムビエルがアマゾネスが追っかけて来てるって」
「え? マジですか? 」
ヨシアキ大佐が聞いた。
「息子の目が赤いから、そうなんだろうよ。よし、見といてやる。やってみろ。なぁに失敗したって、お前は罰されない。俺は関係無いし、やばいのは、その精霊さんだけだ。やってしまえ」
親父が本当に楽しそうに笑った。
「ち、ちょっと、マジでやめて! 失敗したら、私粛清されますってば! 本当に洒落にならないからやめてーーー! 」
俺が前を見て、心を練る。
「くっ、駄目だ。本気で一人でやろうとしてる。こうなれば、何としても戻らないと」
精霊の入ったクニヒト大佐がイージス艦の壁に頭を何度もぶつけはじめた。
「な、何だ? 」
アポリトが驚いた。
「多分、気絶すれば、戻れるんじゃね? 豪快だけど」
親父がにやにや笑ってる。
[とにかく、一旦止めてください。暴走したら私なんかコントロール無理です。お願いします]
やっと精霊の入ったクニヒト大佐が気絶したのか頭に声が入ってきた。
しかし、無視だ。
恨むなら、腐女子世界を夢見た自分を恨め。
俺はコントロールして見せる。
俺の全身が輝きだした。
前に力を集中する。
「うぉぉぉおおぉぉぉぉぉぉぉ! 」
などと叫んでコントロールしてみた。
そしたら、おや、前からたくさんのワイバーンが……。
鯨やイルカの大群も見える。
鳥だ。
凄い黒雲のように大量の鳥が前方に集まって来てる。
「お、おい、また集まって来てるぞ」
親父の声が少し焦ってる。
それもそうだ、何しろ前回の三倍近い量だ。
でも、引くわけにはいかない。
何としてもコントロールしなくては。
「兄弟、まだまだ集まって来るぞ」
アポリトが必死だ。
「まずい、これってまずい! 」
ヨシアキ大佐が前方にますます集まる雌達を見て騒ぐ。
[駄目ですよ! このままじゃ、全部こっち来ますよ! 止めてください! ]
精霊が叫びまくってる。
「やかましい! 」
俺が必死にコントロールしようとする。
だが、モンスターや鳥や魚の雌達の塊はこちらに向かって来た。
「向かって来たぞ! 」
親父が叫ぶ。
「あの量じゃ、この船が沈む」
メイスン中尉もオロオロしてる。
「兄弟、一旦逃げるんだ! 逃げるんだ! 」
アポリトが俺の肩を持って叫んだ。
「ああああ、物凄い数だ」
ヨシアキ大佐が震えあがった。
「もう、止せ。危険だ」
樹老人が止めてきた。
「お前達、その場でいっちゃぇぇぇえ! 」
俺が絶叫した。
「「「「「は? 」」」」」
皆がその場で固まった。




