第三十二部 第三章 親父の自分語り
「「「え? 」」」
アポリト達が男も追加でコンプリートの話を聞いて後退りする。
「いや、しないから」
俺が必死になって首を振った。
そう言う目で見ないで欲しい。
「どんどん想定しない方向に突っ走ってませんか? 」
カザンザキスさんが樹老人さんを見て困った顔をした。
「はあ……」
樹老人さんが深い深いため息をついた。
「意外性が凄すぎて何とも言えないね」
ダグダ師匠も同じように呆れた顔をした。
「竿役なら突っ込むだけ何で変わらないですよ」
精霊が入ったクニヒト大佐が優しい微笑みを浮かべた。
「変わるだろうが! 」
「あのな、俺がまだ中学生の頃だ」
親父がいきなり自分語りを始めた。
「は? 」
「あの当時は友達同士で泊まり合いして、父親や兄貴のAVを一緒に見たりしてたんだがな。友人にちょっとヤンキーはいった奴がいて、そいつが父親の洋ポルノを持ってきたわけだ」
「はあ? 何の話してるんだ? 」
「まあ、聞け。大事な話だ。で、途中で男二人と女一人が出て来てな。男と女がバックでし始めたんだ。そしたら、もう一人の男が女に絡むと思うだろ」
「えーと」
「何と、男の方に突っ込みやがったんだ。当時は田舎だったし中学生も今くらい、いろいろ乱れてなくてな。皆が驚いたわけだ」
「……」
「入れるとこ間違えたのかと思ったら、突っ込まれた男が喜んでるし、中学生だったお父さん達ドン引きだ。でヤンキーだった彼はホモリーとか言われてだな……」
「……何が言いたいの? 」
俺が呆れ果てたように聞いた。
「まあ、性癖は早めに言っとけよと言う話だよ」
「俺はそっちの趣味ないから! 」
俺が激怒して叫んだ。
「何、悪い事ばかりじゃないさ。それから、ヤンキーだったホモリーは親父さんだけには敬語で話すようになったからな」
「そりゃ、掘られそうで怖いからだろ! 」
「遠慮するなよ。ちゃんと俺はそんなお前を受け入れるから。尻を貸すのは無理だけどな」
親父が微笑んだ。
「馬鹿じゃねーの! 違うと言ってんじゃん! 」
俺が激昂してさらに叫んだ。
勘弁してくれ、何でいつもずれてんだよ。
ほら、アポリトとかヨシアキ大佐とかすげぇ顔して後退りしてるじゃん。
「とりあえず、何か手は無いのか。精霊さん」
「難しいですね。そもそも、逃げるに始まって、ゲリ、ゲロ、トラウマでヒモですからね。一体どこまで進むのか、おぞましい限りで」
精霊が入ったクニヒト大佐が呆れた果てたような顔をする。
「お、お前、そこまで言うのか」
「だって、<終末の子>付きの精霊とか言われて、喜んでたのに、今じゃ、仲間に蔑み見られてんですよ。もう、私の立場が無いです。樹老人さんも凄い苦労してるし、自分で反省とかしないんですか? 」
「くっ、きつい事を……」
流石にこれだけ言われると心が折れそうだ。
「もう、こっから先は男も入れてコンプリート以外無いですよ」
「ふざけんなぁぁぁぁ! 」
こいつ、面白がってるだけだぁぁぁぁ!




