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全部社会が悪いんやっ! 〜ある救世主として召喚された男の話   作者: 平 一悟
人物紹介は470から475のあたりにあります。
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第三十一部 第十章 エピローグ

「<終末(おわり)の子>の進化が始りました」


 巨大な部屋の薄暗い中で、ぽつりと椅子に一人で座っている男に誰かが話しかけた。


 そのワンフロアにたった椅子が一つあり、椅子に座る彼以外に誰一人といない筈なのに、彼以外の声がした後、部屋にざわめきが拡がる。


「選ばれた進化の方向は? 天界の予想では未来知だったが」


 椅子の男が聞いた。


 だが、返事は来ない。


「選ばれた進化の方向はどうだったのだ? 」


 再度椅子の男が聞いた。


 だが、返事をするはずのものは躊躇してるようだ。


「心配するな。彼の意外性が物凄いのは逃げに特化した時点で分かっている。さらに、逃げを選択したのか? 」


「……違います」


 恐る恐ると返事をするものが答えた。


「では、何だ、少々の変な進化の方向なら、私は驚かないぞ。私と彼との天界での付き合いは長いのだから。我が友は天界の上に居る時から、皆を驚かす男だったしな」


 凄く柔らかく優しい笑顔で椅子の男が言った。


「……言ってよろしいのでしょうか」


「だから、気にするなと言ってるだろう」


 椅子の男が言った。


「ヒモです」






「は? 」


 椅子の男がしばらく、虚を突かれたように黙った。


「ヒモを選択しました」


「え? それはロープでは無いよな? 」


「はい、女性を自分の性的魅力などで惹きつけて、いろいろと女性にお世話になる方のです」


 誰もが息を飲んだのが分かった。


 言葉だけのもの達も固まったように黙った。


 誰もが息を飲んで、椅子に座る男を見てるようだ。


 時間が止まったような重さが突然、椅子の男の哄笑によって破られた。


「はははははははははははは、嘘だろ。まさか、そこまでこちらの予想を超えて来るとは! 流石は我が友だ! 偉大なる御方を唯一驚かせる男なだけはある。流石だ」


 椅子の男の笑いが止まらない。


「……よろしいのでしょうか? これは進化と言うよりは退化ではないかと思うのですが」


 言葉だけの存在が恐る恐る聞いた。


「大丈夫だ。すべては偉大なる御方の手の中だ。しかし、久しぶりに笑わせて貰った。彼は転生しても相変わらずだ」


 椅子の男の哄笑は止まらない。


 本当に本当に椅子の男は愉快そうに笑った。



 

 

 

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