第三十一部 第六章 ヒモの力
俺が甲板で蹲る。
アポリト達は固まったままだ。
あかん。
変態認定されてしまった。
「まあ、どんな性癖でもいいさ。あんたの本気を試さなくちゃいけない。あんたと戦わせて貰うよ」
アマリアが宣言した。
「くそ、戦闘かよ」
と周りを見回すと、アポリト達は固まったままで、動かない。
まるで、メデューサに石にされたみたいだ。
仕方ないので、許嫁を見ると、トロトロの顔して、こっち見てハアハアと息してる。
駄目だ、これ。
戦闘する状況に無い。
「申し訳ないけど、ちょっと戦闘が出来そうにない。すまないけど戦いは延期じゃダメかな? 」
自分の性癖問題で恥ずかしかったのもあって、はにかんだ様に笑って言ってみた。
そしたら、凄まじい輝きが出たようで、アマゾネスの皆が目を伏せる。
しかも、その後、微妙に全員がトロトロの顔をしだした。
おい、千人くらいいるんだけど。
「なんだ、貴様、精神攻撃か? とっさにガードをしたが! 何が延期だ! 」
アマリアが激怒した。
「いや、そんな気は無いんだ。<終末の子>が進化してヒモになったせいで、ちょっと皆、酷くて」
俺が慌てて詳しく説明した。
「ヒモ? 」
「そう、ヒモ」
「ロープで無しにか? 」
「女の人に養ってもらう方です」
ちょっと恥ずかしくなって言ったら、さらに凄い効果があったみたいで、アマゾネスの中に蹲る子まで出てきた。
「うそ、私が養わないと……」
「養うから……」
アマゾネスの中から妙なささやき声が聞こえた。
「これが、ヒモの力か」
親父が固まってたのから解除されたらしくて言った。
「お、親父」
「すまん。流石にフリーズしてたが大丈夫だ」
親父が照れくさそうに笑った。
いや、フリーズしてたのかよ。
「それにしても、凄い力だな。アマゾネスの精鋭を一撃で使えなくするとは」
「いや、使えなくなってんじゃ無くて、逆にやばくね?」
俺が親父に答えた。
さっきからのアマゾネスのささやきが私が面倒見るに変わってる。
どうすんだ、これだけの相手を。
「貴様ら! しゃきっとしろ! 」
アマリアが叫ぶと光の迸りが辺り一帯に広がった。
今までトロトロしてたアマゾネス達がシャキッとした。
「おお、精神攻撃で活を入れた訳か」
親父が驚いた。
「はっ、この程度の精神攻撃でグタグタするようなのはアマゾネスには居ないんだよ! 」
馬鹿にしたようにアマリアが叫んだ。
「旦那しゃまー、雌豚の私は大丈夫でしゅよ」
しかし、それを遮るように、デレデレのマリナが答えた。
許嫁を見るとデレデレしたまんまだ。
「一体、雌豚攻撃とはどれほどのものなんだい」
アマリアが呆れたようにマリナを見て舌打ちした。
すいません、口で言っただけです。
やめてください、僕の心が壊れてしまう。
あかん、許嫁軍団はトロトロのままだ。