第三十一部 第二章 対艦ミサイル
「? なんか来る」
俺が窓の外を見ながら言った。
「いや、何も見えないけど? 」
クニヒト大佐が呆れたように答えた。
「ガムビエル。何だ? 」
俺がガムビエルに聞いた。
「……ミサイルか」
何故か分からないが、ガムビエルから言われたような気がした。
「は? 」
ヨシアキ大佐が必死に窓の外を見てる。
「マジか? 」
親父がメイスン中尉を見た。
メイスン中尉が皆のバイキング料理での配膳をやめて、走って食堂を出て言った。
「大丈夫、ガムビエルがやるって」
イージス艦の背後からついて来てたガムビエルが光の輪を拡げた。
光の輪が広がって行く。
と同時に、遥か向こうで激しい連続の爆発が起きた。
「お前、目が……赤い……」
親父が驚いてる。
「へ? 寝過ぎた? 」
「いや、そうじゃなくて、黒い目が赤くなってる」
クニヒト大佐も驚いてる。
「え? どういう事? 」
俺が皆に聞いた。
「分からん。だけど、ガムビエルと話してるような雰囲気になったら、兄弟の目が赤くなった」
「え? 」
俺が気になって自分の目をこすった。
メイスン中尉が食堂に駆け込んできた。
「対艦ミサイルが十五発。こちらに向かってたみたいで」
「そうか、どこからの攻撃だ? 」
親父がメイスン中尉に聞いた。
「無人ドローンから発射したみたいだね。 百キロくらい先から発射してる」
俺が答えた。
親父がメイスン中尉を見た。
メイスン中尉が驚いたように頷いた。
「マジかよ」
「ガムビエルが無人ドローンの方もやるって」
再度、外にいるガムビエルが光の輪を拡げた。
「……撃墜したってよ」
「おいおい、マジか」
親父が驚いてる。
「分かんないけど、ヒモに進化したあたりから、変だな。いろいろと」
俺が言った。
「……本当に人間じゃ無くなっていくんだな」
親父が本当に驚いたようだ。
「は? どういう事です? 」
樹老人がそれを聞いて驚いたようだ。
「いや、進化が続くたびに人間じゃ無くなると聞いた」
親父が言った。
「ええええ? 」
俺が驚いた。
「そんな話は私は聞いてないのですが」
樹老人が真剣な顔で親父を見た。
「いや、普通に考えたらそりゃそうだろ。<終末の子>だからな。そもそも人間じゃ無いし」
親父が答えた。
「いや、人間じゃ無いものが産まれたってわけ? 」
俺が必死になって聞いた。
そういや、樹老人も言ってたな。
俺は本当に人間で無いのか。
「そりゃ、そうだろ。だって母さん、神様だぞ? 」
親父が呆れたように笑った。
「あ、そうか」
言われてみれば、そりゃそうだ。
「もう、良いんじゃないでしょうか。すべてを教えていただけませんか」
樹老人が真剣な顔で、本当に真剣な顔で親父に聞いた。




