第三十部 第四章 力(ちから)
[力が欲しいか? ]
それは再度言った。
ちょっと、待ったぁぁぁぁ!
ば、場所が違うくない?
こう言うのは、仲間がピンチで俺が動けないでどうしょうもない時に来るもんじゃないの?
許嫁に囲まれて、新しいプレイに皆がワクワクしてて、俺がどうしょうもない時に来る話じゃないはずだ。
あ……どうしょうもないのか。
……あれ……ピンチはピンチなのか……。
[力が欲しいか? ]
再度言われた。
「待って! 場所が違うと思う! これは、ヒーローが力を貰う状況じゃないと思うんだ! 」
俺が慌てて叫んだ。
許嫁が皆、びくっとして俺を見た。
[力が欲しいか? ]
再度言う。
「いや、だから、今は違うって! これはおかしい! 」
俺が再度叫んだ。
「ど、どうしたのですか? 」
アオイが聞いてきた。
「いや、それが[力が欲しいか? ]とか誰か言って来てるんだ」
「そ、それ、多分。<終末の子>の始まりの進化です」
シャーロットが驚いてる。
「はあああああ? 」
俺が衝撃で叫んだ。
「ここで来たら全然違う意味の力になるんじゃないかな」
俺が許嫁達に聞いた。
「可能性は有りますね」
シャーロットが小首を傾げた。
「そ、それは、夫婦の営み的な意味になるのでしょうか? 」
ムラサキがドキバクみたいな顔で笑った。
顔も真っ赤だし、トロトロだ。
あかん。
これはいけない。
「多分、そうなると思います」
シャーロットが静かに頷いた。
「ありですよね」
アオイが笑顔だ。
「ありじゃのう」
龍女さんも頷いた。
いかん。
「待って! カガが言ってた通り、<終末の子>は救世主のような立場なんだろ! まずいよ! 完全に力の方向性が違う! 」
俺が必死に叫んだ。
「私は一番大切なのは夫婦の絆だと思ってます。だから、それはそれでいいのでは。私達も皆で貴方を支えますし」
アオイがこんな時に真剣な目で良い事を言う。
「私も、私も、そう思いますわ」
シャーロットが感激しながら、アオイの手を取った。
駄目だ。
力が、力の方向性が違う方へ行ってしまう。
この話のノリだと、俺がヒモみたいになってしまう!
[ヒモ! <終末の子>よ、進化は了承された! ]
「はぁぁああああああぁぁぁ? だから、違うと言ってるだろうがあぁぁぁああああ! 」
俺が絶叫した。
俺の全身が黄金に輝く。
しかも、一番輝いてるのが何とちんこである。
それを見た許嫁達が貰い泣きしだした。
「えくすかりばぁ君が! えくすかりばぁ君が! 帰ってきた! 」
許嫁が口々に叫ぶ。
「いや、違う! 絶対に違う! 」
俺が叫ぶが、怒涛の許嫁の抱きつきで動けなくなる。
なんでだぁぁぁぁぁ!




