第四部 第五章 これから
「ところで、カザンザキス殿のところの聖樹様は怪物テューポーンをお持ちとか」
進撃の巨人に対する俺による説明が終わった後、突然に国王がカザンザキスさんに聞いた。
「まあ、聖樹様が封印してるんですがね」
「それは、ユウキに渡してくださるのですか? 」
「いや、いらないんじゃないかな。多分、このままで勝てると思うんだけど」
カザンザキスさんが答えた。
「それは、あちらの兵器を甘く見過ぎです。核兵器と言う大陸すら消せる破壊兵器を持ってるんですよ」
ミツキが必死だ。
「立体起〇装置もあるのかな」
イジュウイン大公が聞いた。
進撃の〇人で巨人が人を食べると言う話は、普通にオーガのでかい奴かみたいな感じで受け取ったが、立体起〇装置にはロマンを感じるらしく、ノリノリだった。
「見てみたいものだなぁ」
ミヤタ公爵も呟いた。
アニメとか漫画が本当に好きだよな。
「ねぇ。ユウキ君。実際問題として、今の段階であちらの世界に勝てると思う? 」
カザンザキスさんが聞いてきた。
「ぶっちゃけ、やりようはあると思いますけどね」
「ほう、例えば? 」
国王が聞いてきた。
「イエローストーンにアポリトの索敵で弱いとこ見つけて、轟天で噴火させるとか」
「イエローストーン? 」
「ああ、噴火が二千二十五年くらいになるかもって、私が居る時に報道があった奴です」
宰相が答えた。
「なんなの? 」
「噴火すると強力な破壊力と、何より火山灰で向こうの太陽が遮られ、寒冷化が起きて世界の人口の三分の一だけしか生き残れないと言われてます」
「ええええええ? 」
「んで、その後にですね。すでに、あちらは貧富の差が凄くなってまして、潜在的な対立が表面化しかかってましたから、それを煽るわけです。当然、金持ちは食糧も買えるけど、買えない層は爆発するでしょうしね。それで、双方をぶつけて弱り切った所を潰すとか」
俺が皆を見回した。
「いやでも、あちらには核兵器もあるのよ」
ミツキが言った。
「あれも相互確証破壊ってあるでしょ。一方が核兵器を先制的に使えば、最終的に双方が必ず核兵器により完全に破壊し合うことを互いに確証するって奴。あれで、お互いに攻撃できないから平和だとか言ってるけど、そんなの嘘だし。ようは数か所のミサイル発射基地をスキルで洗脳出来る奴を使って、奪い、核ミサイルを数発ほど相手方にぶち込めばいい。特に大国同士ぶつければ、殆ど国家として残らない。覇権国が無くなれば、まとめる国が無くなり、後は互いに争うようにさせて、潰し合わせればいい。逆に、どちらかに味方して、敵を味方した側が倒したら背後から味方した側を潰せば良い」
「そんなにうまくいく? 」
「根本は人間同士なんだから、兵器がどうだろうが、結局変わんないよ。彼らの潜在的な対立を表に出す。そういう潜在的な対立って表に出ると本当に大きな戦いになるから、それを行うだけ。兵器は兵器で潰しあわせたら良い」
俺が全部を言うと皆が静かになった。
「ねっ、別に怪物テューポーンなんか無くても出来そうでしよ」
カザンザキスさんが笑った。
「逆に無い方が良いですよね。こっちを舐めてれば、向うが警戒して対立を収めたりしないでしょうし。逆に、よき隣人として彼らに振る舞うべきでしょうね。最後は違ってもね」
皆がしんとした。
「うわぁ、ドン引き! 」
国王がドン引いてる。
「いや、だから嫌なんだよ。結局、俺が最後ぼっちだもん」
「怖いな、相変わらず」
イジュウイン大公が真剣な顔をしてる。
「ほら、こうなるし」
俺が愚痴った。
「でも、あれだぞ。なんかやっても、シ〇アが被るわけだし」
国王が笑顔だ。
「ばれてもクニヒト少佐だしなぁ」
宰相も笑顔だ。
「いや、あなた方って良く似てますね」
何か怖いものを見る様にカザンザキスがドン引いている。
「ヤマトの血って糞ですね」
アオイが笑った。
いや、笑うとこじゃないと思うし。