第二十九部 第九章 勝負
なんか、もう、コンチュエに行く話が完全に脱線してる。
とりあえず、右側にアオイで左側にシャーロットがいる。
駄目だ、この子引かないわ。
確かに親父の言うとおり、母さんに似てる。
とりあえず、カザンザキスさんの好意でカザンザキスさんの迎賓室を借りて話してんだけど、何かもう居づらい。
空気重いし。
かと言って、親父とかスコット中佐とかルイス中尉とか、絶倫で盛り上がっているし。
カザンザキスさんも困った顔してる。
「おお、兄弟。呼ばれたから来たが」
アポリトとヨシアキ大佐とクニヒト大佐と樹老人とカガが迎賓室に入ってきた。
で、やはりのごとく、シャーロットを一斉に見てる。
「「「「「どなた? 」」」」」
一斉に皆に聞かれた。
「祐樹様の許嫁のシャーロットと申します」
シャーロットが言ったせいで、また部屋が凍る。
アオイが無言なのが怖い。
アポリト達が察したのか黙った。
「いい加減、一人じゃ無理なんだから、諦めたら? 」
麗が困ったように笑った。
「私は一夫多妻とかそう言うのは間違ってると思います」
シャーロットが答えた。
「無理だと思うよ。だって、この人、一日立ちっぱなしで何度も発射できるんだから」
麗が凄い事言った。
「そうだとしてもです」
少し顔を赤くしてシャーロットが答えた。
「「「マジなの? 」」」
くっ、アポリトとクニヒト大佐とヨシアキ大佐が驚いたように聞いてきた。
「いや、ちょっと……」
俺が言葉を濁したら、許嫁が全員頷いた。
「ええええ? マジですか? 」
ヨシアキ大佐が前のめりで聞いてきた。
「なぜ、そんなに前のめり」
「いや、そんなの無理ですよ。薬使っても無理。回復魔法にも限度がありますからね」
そんなに力説しないで……。
「マジか兄弟」
アポリトの驚愕の顔が悲しい。
「ええ? 無理だよ? 普通、そんなに出来ないよ」
いやいや、クニヒト大佐まで食いついてくんな。
「お前、嫁が百人近くいるだろ」
俺が怒ったように突っ込んだ。
「ローテーションだよ。回復魔法があっても、薬を使っても、せいぜい一日一人三回で十人くらいだぞ」
俺を化け物ののようにクニヒト大佐が言った。
くそう、納得いかない。
「分かりました。それならば勝負といきましょう」
アオイが立ち上がって言った。
「は? 」
何を言い出すのでしょうか?
「貴方が一人で旦那様を相手しきったら、私達は引きましょう」
アオイがニッコリ笑った。
「へ……へぇ、随分自信があるのね」
シャーロットが少ししどろもどろで答えた。
「ええ、旦那様がそっち方面でバケモノなのは、許嫁の中でも皆が納得済みです」
アオイが静かに笑った。
なぜ?
何故、皆が頷くんだ。
「今夜、旦那様と勝負と言う事で、私達の監視の元でして貰います」
アオイが提案した。
えーと、何で?
「ちょっと、私はそう言うのは……」
シャーロットが赤くなって俯いた。
「おや、逃げるのですか? 」
アオイが煽るように言った。
「くっ! 分かったわ! 」
シャーロットが顔を赤くしながらも受けた。
「では、私達のお部屋をお借りします」
アオイが俺の襟首を掴むと、俺を部屋の外へと引き摺っていく。
「なんか、お前、ドナドナ思い出すな」
親父が笑ってる。
「ふざけんな! 」
洒落にならん。
何でこんなことに。
いつものごとく誰も止めない。
「こ、コンチュエは? 」
俺が必死になって聞いた。
「その為に、今、決めておかないと大切なのです」
アオイが冷たく答えた。
「何でやねん! コンチュエどこ行った! 」
俺が叫びながら廊下を引き摺られていった。
なんだ、これ。




