第二十九部 第五章 出発
「名前はガムビエルだって」
アオイが俺に教えてくれた。
「へー、ガムビエルさんか」
俺が言ったら、コクリと身体を揺らして頭を下げるような仕草をした。
むう、何と言う礼儀の正しさ。
「これで、足は確保できたな」
親父が笑った。
「また、イージス艦で行くの? 」
俺が聞いた。
「防御とか考えるとまだミサイルも残ってるし、穴空いててもイージス艦の方が良いんじゃないか? 」
また、使徒に抱えて貰っていくのか。
しょうがないけど、どうなのだろうな。
「ちょっと、磯臭いけどね」
ミツキも苦笑いした。
「まあ、それでも二日もかからんだろ」
「そりゃ、早いけどさ」
ミツキが不満そうだ。
「素直にそろそろ蒼穹船出すか? 十二分に戦えると思うがの」
龍女さんが提案した。
「武器を大量購入してるって話だから、少し、そこは警戒した方が良いかもしれんけどな」
親父が疑問を呈した。
「とりあえず、うちはいくつもあるし、強襲型の蒼穹船を使えば良いんじゃないかな? 」
燐女さんが言った。
「あ、それは寝室が……」
キョウカさんが突っ込んだ。
「は? 」
思わず変な声が出る。
それって大事な話なの?
「確かに、それは言えてるな」
龍女さんもキリリと答えた。
「大切なポイントですね」
アオイも真剣だ。
「いや、別にいいんじゃないの? 」
って、俺が言ったら、空気が凍った。
「お父さんが孫を待ってるんだから、急がないと駄目でしょ」
ミツキが俺にキツイ目で睨む。
お、親父のせいで皆の目が怖い。
俺が親父を見たら、目を逸らすし。
責任取れない事は言わないで欲しい。
「とりあえず、一度基地が近いんで、先にそちらに行ってからでコンチュエに行くで良いんじゃないですか? 」
メイスン中尉も提案した。
「ちょっと、状況が状況なんでスコット中佐と連絡取ったらどうです? 」
恋が聞いた。
親父が誰? って顔してる。
「いや、一緒に潜水艦に乗ってたでしょ? 」
紅葉が呆れ顔だ。
「え? 仲間を忘れてんですか? 」
メイスン中尉が呆れきった顔をした。
「とりあえず、あの人達なら、すぐにお義母さんに連絡しないと思いますし」
恋が言った。
むう、もうすでに俺の母さんがお義母さん扱いですか。
多分、俺も母さんに膝蹴りだな。
「とりあえず、ルイス中尉に連絡しますね」
恋が衛星電話みたいなの出して連絡しだした。
「そんなのあったの? 」
「簡易のものですがね」
恋が笑って答えた。