第二十九部 第五章 AA12
無人ドローンがまっすぐにカザンザキスさんの屋敷に向ってる。
せっかく、俺の別邸がアマゾネスに壊された後に改築したのに、最悪だ。
そしたら、親父が足元に置いてた防水カバーのでかいボストンバックから、ドラムマガジン付きのアサルトライフルみたいなのを出した。
「って、AA12じゃん。うわ、初めて見た」
俺が驚いて言った。
AA12とはフルオート射撃が可能なとても珍しい軍用散弾銃であり、驚くほど反動も少なく、前に録画で見た時は無茶苦茶な攻撃力で撃たれたものがミンチになってた。
「多分、低空で飛んでるから、これで落とせるんじゃないかと思うんだが」
親父が言いながら、フルオートでAA12を無人ドローンに連射した。
そしたら、無人ドローンが一気に全部爆ぜてってーか、物凄い爆発が起こって、俺達が爆風で吹き飛ばされた。
「えらく爆弾積んでたんだな」
「そりゃ、低空で飛んでたし、こんなとこで爆発させたら爆風に巻き込まれますよ」
メイスン中尉が親父に怒った。
「まあ、とりあえず、撃墜できたわ」
親父が楽しそうに笑った。
「そりゃ、AA12だもんな。こんなのがあちらで鎮圧で使われるようになったら恐ろしい」
「完全に殺しちゃうから、向こうも躊躇してんのかもね。製造は古いけど、なかなか採用されん」
親父がAA12を持って言った。
「さて、それより、あれだな」
親父が使徒を見た。
使徒が動き出してる。
でかい、でかすぎる。
「あ、あれは何をする気なんですか? 」
カザンザキスさんが驚いたように聞いた。
使徒が二つの一キロ近い足を前に突きだす。
そこに光の輪が広がる。
「敵認識したな」
親父がにやっと笑った。
「……親父、わざと俺の近くで爆発させたのか? 」
俺が親父を見て聞いた。
「察しがいいな」
親父が満面の笑顔だ。
こ、この親父は……。
光が凄い勢いで集束はじめた。
「さあ、滅びの力だ」
親父が破顔した。
光が集束した後、激しいきらめきを発した。
その後、何も光らなくなる。
「あれ? 終わり? 」
「終わりだ」
親父が満足気に答えた。
「良く状況が分からんので、上空の端末から見てたんだが、五隻くらい、あの船と同じのが来てたみたいだな」
龍女さんがうちのイージス艦を指差して言った。
「で、どうなった? 」
「全部消滅だ。一撃だな」
龍女さんが呆れたように答えた。
「たいしたもんだな」
「コントロールできないけどな」
「多分、多分ですが、今なら言う事聞きますよ。貴方に今後の事をどうするか聞いてます」
アオイが言った。
「おいおい、うちの息子の嫁は凄いな。話せるのか。たいしたもんだ」
親父が驚いた。
「どうします? 」
「と、とりあえず名前聞ける? 」
俺がアオイに頼んだ。
「聞いてみます」
アオイが答えた。
そしたら、その巨体が驚くくらいにびくりと動いた。
そのびくりと言う動きで周辺に軽い地震が起こる。
本当に異様な動きだ。
「だ、大丈夫なの? 」
俺も驚いて聞いた。
カザンザキスさんも異様な動きだったせいなのか、凄い驚いている。
「お、おいおい、どうした? 」
親父が心配してる。
「それが、名前を忘れられてたのがショックみたいで……」
アオイが苦笑した。
「す、すいません」
俺が使徒に素直に頭を下げた。
そりゃ、まあ、ショックだよな。