第二十九部 第四章 無人ドローン
「で、どれで行くの? 」
俺が親父に聞いた。
「やっぱり、イージス艦が良いんだけどな」
親父がそう言いながらも悩んでる。
「穴が開いてるけど、どうすんの? 」
「こっちじゃ直せないか」
「無理でしょ」
「どうなのかな? 」
親父がメイスン中尉に聞いた。
「こっちじゃ無理じゃないですかね? 」
メイスン中尉が答えた。
「むう、使徒が動かせればなぁ」
「は? 使徒にイージス艦を持っていかすの? 」
俺が驚いて親父に聞いた。
「足が速いから有りじゃないか? 」
「向こうのミサイル攻撃のマトじゃないかな? 」
「使徒が守るだろ」
親父が笑った。
「なるほど、使徒の名前が分かればなぁ。忘れてしまったからわからん」
「多分、あの子、旦那様がピンチになれば動きますよ」
いきなり、後ろからアオイに言われた。
「私も、そう思う」
ミツキもいつの間にか後ろにいる。
「なるほどな。使徒だからあり得るか」
親父がふっと笑った。
何か凄い嫌な予感。
「ちょっと、危ない目にあってみるか? 」
親父が親指立てて言った。
「ああ、言うと思った。碌な事言わないな」
「まあ、そう言うが、母さんの話だと、あれ無茶苦茶強いんだぞ」
親父が笑って使徒を指差した。
「いや、コントロール出来ないし、どうすんのよ」
「やめましょうよ。正直、何か起こっても貴方は笑って見てるだけだと思うし」
メイスン中尉が心配そうだ。
「良くご存知で」
俺が頷いた。
「そりゃ、いろいろとありましたもの。攫われた時も助けに来てくれるのかと思えば、こっちの事を完全に忘れてるし」
メイスン中尉が暗い顔で呪いのように呟いた。
「まあ、攫われても死ぬこと無いと思ってたし、実際に赤ちゃん産まれて良かったじゃん」
親父が満面の笑顔で答えた。
それを見てメイスン中尉ががっくりと肩を落とす。
その時にミツキが何か親父に頼まれてたみたいで、重そうなでかい防水のボストンバックを持ってて親父の前に置いた。
「おう、ありがとうよ」
「重いよ。これ」
少し不満気にミツキが言った。
「提案なんですが、私としてはリヴァイアがまだ帰ってこないので、帰って来てからの行った方が良いのでは無いかと思うのですが」
アオイが提案した。
「確かに、それは言えてるなぁ。でも、急がないといけないし」
実際、カザンザキスさんが焦るくらいだから、相当やばいのだろう。
その雰囲気を読んだのか、カルロス一世もワイバーンを借りて、すでにエテルノに帰った。
俺が離れたところをふと見る。
妙だって言うか、何か来る?
「どうした? 」
親父が俺が見てる所を一緒に凝視した。
ドローンだ。
無人ドローンがこちらに四機ほど飛んでくる。
「まずい。あれ自爆ドローンだ」
親父が舌打ちした。
「許嫁の皆は! 」
って後ろを振り返ったら皆いるし。
「誰か、屋敷に居ますか? 」
「お手伝いさんとかアサナトの連中がいるが」
「早く逃がしてください。爆弾を抱えたドローンが来ます」
俺が言った。
「分かった」
カザンザキスさんが後ろで控えてる秘書のような男に説明してる。
間に合わないかもしれん。




