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全部社会が悪いんやっ! 〜ある救世主として召喚された男の話   作者: 平 一悟
人物紹介は470から475のあたりにあります。
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第二十九部 第三章 椅子の男

「もう一人の彼が起きました」


 巨大な部屋の薄暗い中で、ぽつりと椅子に一人で座っている男に誰かが話しかけた。


 そのワンフロアにたった椅子が一つあり、椅子に座る彼以外に誰一人といない筈なのに、彼以外の声がした後、部屋にざわめきが拡がる。


「さらに、十二使徒の最初の使徒たるガムビエルが動きました」


 そのいずこからの声でさらにざわめきが大きくなる。


「相変わらず、彼は逃げているようだ。使徒すらも逃げるのに使っているのか? 」


 椅子に座っている男が笑った。


「はい。<終末(おわり)の子>はガムビエルを逃げるのに使いました」


 部屋のざわめきが酷くなる。


「あの使徒一つで、アメリカすら灰に出来るのにな」


 椅子の人物は優しく笑った。


「一切の攻撃を無力化しますからね」


 誰かが言った。


「すべての使徒に通常の攻撃は効かない」


「使徒はこの世界の物体に非ず」


「使徒はあらゆるものの上位者である」


「すべての使徒は滅びの代行者である」


「使徒によって滅びる世界は滅ぼされる」


「使徒こそ、神々の鉄槌である」


 部屋の中の誰かが呼応したように囁いた。 


「それを逃げるのに使うとは聞きしに勝るものだな」


 椅子に座った男が楽しそうに笑った。


「彼は滅びの執行者としては間違っておりませんか? 」


 誰かが椅子の男に聞いた。


「心配ない。それすら、偉大なる主の考えの中なのだ」


 椅子の男が厳粛に答えた。


「それで、よろしいのでしょうか? 」


「違う答えもまた主の御心だからな」


 椅子の男が笑った。


 部屋のざわめきが酷くなった。


「まあ、もう一人の彼がどう動くか。彼の味方になるか、それとも敵になるか。それが最大の問題だろう」


 椅子の男が言うと部屋のざわめきが止まって静かになった。


 椅子の男が立ち上がった。


「どうなるのでしょうか? 」


 誰かが椅子の男に聞いた。


「それは彼が決める事だ。だが、そろそろ彼自身も進化が始まるだろう」


 椅子の男が答えた。


「進化ですか」


「ああ、進化が彼を徐々にであるが人間では無くしていくのだ。そして、我が友の記憶が少しずつ戻っていくはずだ」


 椅子の男が懐かしそうな顔をした。


「彼を見張るのだ。我が友を……」


 静かに静かに椅子の男は言った。



 


 







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