第二十七部 第八章 出航
微妙な雰囲気ではあるが、とりあえず、出航した。
やはり、帆船と違って揺れない。
安定感もハンパ無い。
ついでにやっぱり船足は早い。
「へぇ。あちらの方が船はやはり上なんだね」
ダグダ師匠が笑った。
「まあ、でも、蒼穹船とか入れると分かんないですけど」
俺が答えた。
「まあ、あれは神代のテクノロジーだし」
「それよりも、大丈夫なのかな」
ミツキが横で聞いた。
「どういう事? 」
「メイソン中尉怒って無かった? 」
「ああ、親父は無神経だからな」
「それ、君が言う? 」
横でさっき強襲型の蒼穹船から降りてきたクニヒト大佐が突っ込んできた。
ヤマトから出ていくならと大喜びで降りてきたのだが。
燐女さんが上空から牽制するために乗り込みに行っただけなのにヤマトから離れると聞いたら現金な奴。
「子供四人いるってよ」
和真が船室から甲板に出て来て暗い顔された。
「え? 嫁さん四人なん? 」
「いや、六人だって」
重たい。
この話、重たい。
「子供はかわいいって言ってたぞ」
親父が嬉しそうに甲板に出て来た。
「いや、親父が言ったらいかんのでは? 」
「いや、お前もだろ」
親父が笑って答えた。
「まあ、後は俺の孫だな」
「かはっ! 」
なぜ、ここで。
ミツキとアオイとか許嫁の目が輝く。
これは獲物を見る猛獣の目だ。
思わず蹲った。
「おーい。今はそれどころじゃないだろう、シュウジ」
カガが冷たい目をしてる。
「にしても、思ってたより、仮面が弱いような気がするな」
親父が首を捻った。
「いや、それは分霊を増やしまくってるからだと思うけどね。後、ちょっと、彼の許嫁がどうも規格外のような気がする」
カガが真顔で答えた。
それは怖くて言えない事です。
と、心の中で言ってみました。
「いや、まあ分かるけど、それを君はちゃんとコントロールできるの? 」
くっ、しまったぁぁぁあ!
心をカガが読めるのを忘れていた。
「何か、旦那様が思われたのですか」
アオイの能面のような笑顔が怖い。
「あ、いや、そういう訳で無くて……」
カガがしどろもどろになった。
それを見てアオイだけでなく他の許嫁もメスカマキリの目に成り出す。
洒落になりません。
怖いと思うなら、俺の心に突っ込むのをやめて。
涙がとまりませんから。
そしたら、イージス艦が揺れた。
あり得ないくらい揺れた。
何か水面下でぶつかってるみたいだ。
イージス艦の離れたところに鮫のヒレが見える。
尋常じゃないでかさなんだが。
これだと、イージス艦より鮫の本体がでかくない?
何だ、これ?